早速来た
入学式を終え、クラスへ戻った。
学園長の話を聞いた生徒達に中には俺とジークがどういった関係なのかを察し、これから何が起きるか予測出来ている奴がいるな。
「ラガス、多分だけど」
「解ってる。でも、逃げるつもりは無い。面倒事は早く片付けた方が良いからな」
「そう、わかった。負ける事は無いと思うけど、見てるね」
「ああ。そこまで時間は掛からないと思う」
仮に何か奥の手があったとしても、負ける気はしない。
ただ、完全に圧勝するのは良くないよな。
最初らへんは受け身に徹しておくか。
教室に入るとほぼほぼ全員が着席しており、ほぼ全員が俺に視線を向けている気がする。
自意識過剰では無いと思うんだが、会話の中でもこっちに視線を向けている奴が多い。
ジークに関してはもはや殺意を隠す気ないだろ。
「お前ら、さっさと席に着けよ」
扉から担任の先生らしき男が入って来た事で全員が自身の席に戻って座る。
「おし、全員着いたな。これからお前らは一年間一緒に過ごすクラスメートだ。色々と行事事はあるから仲良くするんだぞ」
先生、その言葉現状の俺に喧嘩売ってませんか?
「とりあえず自己紹介するか。俺はガレッド・バッカスだ。魔法での遠距離と武器での接近戦のどちらも一応出来る。戦いの技術に関して訊きたい事があれば相談に乗るぞ。ちなみに好物は酒だ」
だろうな、バッカスって確か酒の神の名前だよな。別名ディオニュソスだっけ?
おそらくガレッド先生だけじゃ無く、血族は全員酒が好きなんだろうな。
「そんじゃ、左端から軽く自己紹介をしてくれ」
クラスメート達は自身の名前と特技に趣味を紹介していく。
まっ、それがオーソドックスだよな。ただ中には将来の夢を語る奴もいる。
その中でも夢を叶えられそうな奴は限られてそうだけど。
ジークもセルシアも特に問題発言をする事無く自己紹介を終える。
ただし、二人が自己紹介を終えた時は何故か歓声が上がった。
二人はクラスメートからすればアイドルみたいな存在なのかもしれないな。
さて、ようやく俺の番だが、視線が集まるのは自己紹介だから当たり前なんだが、視線に色々と感情を込め過ぎじゃないかお前ら。
そしてガレッド先生、なんであんたはニヤニヤしてるんだよ。
「ラガス・リゼード。特技は接近戦。以上です」
えーーーー、って顔すんじゃねぇーよ。
特に先生! もっと話す事あるだろ的な顔をするな。
クラスメートには俺の自己紹介が不満だったようだが、誰が自分から不必要な情報を教えるかっての。
「全員終わったな。それじゃ、授業は明日からになるが最初は必須授業以外の選択授業もいくつか受けるんだ。次週からは選択授業は最低でも二つは受けて貰うからな」
配られた必須科目と選択科目が載っている紙を見て俺はどの選択授業を受けるか考える。
「そんじゃ、今日はこれで終わりだから帰って良いぞ。あっ、学校の外に出るならちゃんと外出許可の紙を書いてから行けよ」
そう言い終わるとマジで教室からいなくなった。
さて、本当なら俺も速く教室から出てメリル達と合流したいところなんだが、そうはさせてくれないみたいだな。
「俺に、なんか用か?」
「そうだね。ただ、内容は言わなくても解ると思うんだけど、もしかして解らないかな?」
もしかしてそれ、俺も挑発してるつもりか?
全く心が乱れたりしないんだが。
「まぁ、何となく解るけど、それって納得しないとダメな内容だろ。王族だって守って来た内容なんだし。それをたかが侯爵家破る訳にはいかないんじゃないのか?」
挑発を挑発で返したが、今の挑発で顔を赤くしてキレる事は無く、何があっても俺と戦うと決めた意志は変わらない様だ。
「僕と戦って貰う、絶対にだ」
「・・・・・・・良いぞ。どうやら拒否権は無さそうだからな」
というかクラスメート達よ、なんで一切止めようとしないんだよ。
基本的にこいつがやろうとしてることは色々とアウトだと思うんだが。
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