納得してるなら

おいおい、いくらなんでも戦わずに降参するって選択肢を暗殺者が・・・・・・いや、暗殺者だからこそとるのか?


「それは降参して俺の依頼を無料で聞くって事で良いのか?」


「結果そういうことだろう。君と戦ったところで、私にメリットは無い。あまり勝てるイメージも浮かばないからな。ただ、これは俺が勝手に判断しただけだ。お前達はどうだ、ラガスと戦う者はいるか?」


「俺は止めておく。勝ち目が無さそうだからな」


「はっはっは!!! こいつと戦えば最高にテンションが上がりそうだが、二度と戦えなくなるのは流石に俺でも嫌だから却下だ!!!」


「私も、この馬鹿に同意。なんでこんなにも戦い慣れている雰囲気を出してるのか謎、謎すぎる」


「おっちゃんも止めとく。世の中広いってのはこの事だな。こんな商売やってっから死ぬのは別に怖くないが、まだ人生を楽しみたいからな」


「私も同じ考えね。無駄死にするつもりは無いのよ。それで、あなた達はどうするの? この子と戦うというのなら止めはしないけど、死ぬのは自己責任よ」


色気のある姉さんが転がってる奴らに声を掛けるが、誰一人として俺と戦おうと思う者はいなかった。

転がってる奴らは俺と戦おうにも動く事が出来ないから無理だろ。


「これが俺達の総意だ」


「・・・・・・そうか。俺としては拍子抜けだが、あんたらが納得しているならそれで構わない」


「さて、今からラガスがディーザスのマスターだ」


? まてまて、確かに乗っ取るとは言ったが、別にマスターになるつもりは無い。


「俺はこれから学園で生活するんだ。ここに来れる日はそう多くない。というか、俺はマスターなんてガラじゃない」


「実力は天を突き抜ける様なものを持っていたとしても、まだ十のラガスにそんな事は求めない。ただ、そういった立ち位置にいればそれで良い。特に仕事は・・・・・・一応依頼として入った報告は伝えておこう。ラガスの私用で却下な依頼があればそれを伝えて欲しい」


「それは有難いが、そんな事をしていても良いのか?」


「今このディーザスのトップはお前だ。最終的な決定権はお前が決めるんだ。ということで少し待っていてくれ」


あらら、どっか行っちゃったよ。


「・・・・・・マジで皆さん納得してるんですか?」


「俺はお前が暗殺対象に善人を選ぶとは思えないからな。っと、名前を教えていなかったな。ガイだ、よろしく」


「俺はバッシュだ!!! 俺は特に上の人間が変わる事に大して興味は無いからな!!! それにお前は面白そうだから納得した!!!」


「また馬鹿と考えが似てて不快。あなたといれば良い物が手に入りそう、そう直感的に思った。名前はポーラ。特技は毒殺。一応回復も専門」


「おっちゃんはゼンスって名前だ。好きに呼んでくれ。俺もよっぽど人間として終わってる奴が上でなければ変わっても興味は無い。まっ、人生遊んでなんぼのもんだ。生きれることに越した事は無い」


「確かにそうね。命あってこそやりたい事をやれるものよ。私はフレイナ、特技は潜入してからの暗殺よ」


二名ほどどこかの神の名を弄ったような名前だな。

というか、暗殺ギルドという名前からして如何にもブラックな組織な感じがしてたんだが、俺の勘違いなのか?


「それにしても、一体どうやってそこまでの実力を手に入れたのかしら? 今年学園に入学するのだから十歳でしょう」


「得たアビリティの質が良かったんだよ。あっ、言っておくが俺は基本属性のアビリティは持っていないからな」


「ほほぉ~~~・・・・・・なら、その周囲に浮かんでいる魔力の塊は何なんだ? おっちゃんに教えてくれよ」


やっぱりブラック企業的な雰囲気が無い場所だな。

というか、やっぱり貴族の子供が基本属性のアビリティを持っていないってのは驚く事なんだな。


転がりながらポーラさんに毒を治してもらっている人達も驚いてるし。


「・・・・・・魔弾ってアビリティだ」


「魔弾、初めて聞くアビリティだな。みたところ汎用性のあるアビリティの様だが、合っているか?」


「そういった認識で合っている」


魔力感知を使って周囲に浮いている魔弾の属性を把握しているからこそ出る質問か。


「それ、私も気になった。この人達を毒の状態にしたのもそのアビリティのお陰?」


「そうですね」


正確には違うが、魔弾を使って発動している事に変わりはない。

っと、どうやらお喋りはここまでみたいだな。

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