面白いかは解らないが、役立つ

ロウレット公爵家の当主であるバルンク様にディセクションを送ってから一カ月弱、ようやく感想が書かれた手紙が届いた。


「・・・・・・はぁーーー。よかっ、たぁーーーー」


「良い報告だったのですか?」


「そうだな。ディセクションを使った感想に関しては良い内容だけだった」


含みのある言い方にシュラが直ぐに尋ねてきた。


「ディセクションを使った感想に関してってことは、他にも何か書かれてあったんっすか?」


「ああ。主に二つ目の送り主の内容なんだけどな」


一つの封筒には二つの手紙が入っており、中には勿論バルンク様からの手紙が一つ。

そしてもう一つはレアースさんからの手紙だった。


「レアースさんからまずは自分にも魔靴を造って欲しい。勿論時期は問わず、報酬に関しては確かな物を渡すと書かれてある」


「製作者としては喜ばしい内容ではないのですか?」


「メリル。お前解ってて言ってるよな」


確かに喜ばしい内容ではあるよ。

でもな、それ以上にやっぱり面倒事があれよこれよとついて来るのではないかというのが心配なんだよなぁ。


レアースさんはまともな人だから身内以外の人に言いふらしたりしないだろうけど、どこで魔靴の制作者が俺だって漏れるのかわかったもんじゃないからな。


ただバルンク様に造っといてしっかりと報酬を払うって言っているレアースさんに造らないってのは、絶対によろしくない。


「あと、面倒事って訳では無いんだが一つ依頼というか・・・・・・相談、で良いのか。みたいな事が書かれてあるんだよ」


「魔靴の制作依頼の他にっすか? レアースさんがここに来た時にコンバットドールの話はしてないっすよね」


「ああ。コンバットドールを造ってくれって内容では無い」


レアースさんからの相談内容はサンドバッグ的な物を作れないかって事だった。

サンドバッグかぁ・・・・・・確かにあったら凄い便利だよな。

というか今までなんでその存在を忘れてたんだろ。俺素手での戦いもメインに入ってるのに。


「面倒とは感じない内容なのですか?」


「さぁーーな。それは造ってみないと解らん」


サンドバッグをつくるならミットを作るのもありだな。

外の皮はモンスターの皮を使えば耐久性は十分だろう。中身の砂は確か鉱石の中に見た目の体積以上の重さがある物があった筈だ。

それが見つかるまでは普通に鉱石を粉々に砕いて中に詰めれば問題無い。


ミットに関しては中身は・・・・・・どうしようか?

ゴムやスポンジを詰めたところである程度力がある奴なら簡単に壊せる。

というかこの世界にゴム、はあるのか。普通に髪を縛るのに使ってるもんな。


ただ普通のゴムじゃなぁ。

そこら辺はおいおい考えるとして、確かに作ってみるのはありだな。


「楽しそうな顔をしてますねラガスさん。何か面白い道具でも作るんすか」


「面白いかどうかは知らんが、役立つ道具ではあるだろうな」


これは作って損は無い物だ。

学園に入学するまでそこまで時間は無いが、ある程度進めておこう。


「何かを造るのに夢中になるのが悪いとは言いませんが、試験の勉強はしているのですか? そこまで難易度が高いとは聞いていませんが、ある程度は学んでいないと厳しいと思いますよ」


確かにな。学園に入学するにも一応試験を受けなきゃいけないんだよな。学園から問題集が送られて来たから勉強は勿論している。

ただ、内容は大して難しくない数学にこの国の地理と歴史と属性魔法のアビリティに関する問題が少々ってところだ。


正直難しくない。

属性魔法のアビリティに関する問題って聞いた時はマジで勉強しないとヤバいなと持ったが、問題を解けば大して小難しい物では無いと解った。


「一応毎日勉強してるから大丈夫だよ」


「それは知っていますが、ラガス坊ちゃまはどこかでやらかしてしまいそうな気がしますので」


「だから不吉な事を言うな」


本気でそうなったらどうするんだよ。

いや、ある程度問題は溶けるのにテストでやらかすってどういう事だ?

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