いつの間にか
盗賊団の人数からして残りの魔力残量を気にする必要は無い。
メリルとシュラにルーフェイスまでいるんだからな。
「けっ!! 冒険者か兵士かと思えばただのガキじゃねぇーーか」
「さっきの攻撃を見てただのガキに思えるのならお前は随分と脳内がお花畑の様だな」
いつも通り右手で銃の構えをとり・・・・・・放つ!!!
「がばっ・・・・・・」
やっぱり顔面に当たれば一撃で終わるな。
おそらく身体強化のスキルを使っていなかったんだろうけど、この程度の奴らなら強化無しの魔弾で十分なのは分かった。
「おいおい、俺だけにそんな注目してどうするんだよ」
大の男がまだ成人もしていない子供に瞬殺された。
その事実に驚くなって方が無理かもしれないけど、他二人と一体も十分に強いんだぞ。
ほらほらメリルの放った短剣が刺さって、ルーフェイスに斬撃とシュラの大剣が盗賊達の体を裂く。
「もう一度言うぜ、ブッ殺す」
魔弾を自身の周りに五つ生み出し、両手を銃の形に変えて一気に盗賊達の間を駆け抜ける。
勿論身体強化を使って速度は強化済み。
放った魔弾のすべてが盗賊達に着弾はしなかった。
身体強化の発動が間に合った盗賊達は何とか避けたみたいだが、それ以外の盗賊達の体は体の一部をしっかりと抉った。
仲間が殺られた事に逆上して勢い良く突っ込んでくる馬鹿がいるが、そこは俺の絶対領域だ。
ある程度の防御力が無いと無意味な特攻だぞ。
「なッ!! が、は・・・・・・」
「く、そッが!! あ・・・・・・」
急所を避けたのは多少驚いたが、弾道を変えればそれで終わり。
というか、今目の前に倒れた男の大剣の刃の部分が燃えていたような・・・・・・もしかし依頼書に書いてあった要注意人物ってこいつの事か。
「・・・・・・ちょっと重いな」
それでも扱えない程じゃない。
俺の身長と比べて大剣だから阿保みたいにデカいけど闘気を纏って更に身体能力を上げれば十分に振れる。
「クソガキーー!!! それはお頭の武器なんだよぉぉおおおーーーー!!! テメェーーみたいな糞チビに扱える訳無いだろうが!!!!」
だからそれを俺達に返せって訳か?
それは全くもって理由になって無いぞ。
それにこいつら本当に脳みそまで筋肉ーーーって奴らだな。
俺の方が速いんだから剣の間合いに踏み込んだらどうなるかぐらい予想出来ないのかよ。
「な、なんで・・・・・・」
「ぐ、そがぁああ・・・・・・」
刃に炎を纏って斬ったからか少し焦げ臭いな。
でも切断部分を燃やしてるから血があまり飛び出さないのは利点か。
「さて、後は・・・・・・あらら。もう終わってたみたいだな」
周囲を見渡せば盗賊の死体がゴロゴロと転がっており、呻き声する聞こえない。
乱戦が完全に終わったのを確認して俺はメリル達の耳から無音の効果を消す。
というか音魔法を使う機会が全く無かったな。殆ど魔弾だけで終わってしまった。
「ルーフェイスに乗っていたので盗賊達の攻撃が私に当たる事は全くありませんでした。投擲に関しても身体強化を使えば盗賊に当たりますし、短剣の刃の部分を魔力で覆って強化すれば体も容易に貫く事が出来ました」
ルーフェイスが本気ではないとはいえ盗賊達が完全に捉えきれない速度で動いているのにも関わらず、正確に短剣を投げて思い通りに当てられるのは十分に凄いと思うけどな。
それにメリルが刃に魔力を纏わせるとき凄い整っていて鋭い感じなんだよなぁ・・・・・・そこら辺も貫通力に関係ありそうだ。
『あんまり強くは無かったね。反応速度はちょっとだけ速い盗賊もいたけど僕の攻撃を完全に避けられた訳では無いし』
そりゃーーー、ルーフェイスが手加減しているとはいえ爪による斬撃は相当な切断力と速さがあるんだ。
身体強化を使って速度を上げてるとはいえ、完全に躱すのは不可能に近いだろう。
「自分も傷を負う事無く終われたっす。正直に言えば闘気を纏わなくても良かったかもしれなかったっす」
念の為って考えられるようになっただけで俺は嬉しいけどな。
「接近戦では盗賊達の動きは大した事無く、動きも連携もバラバラだったんで避けるのもカウンターを入れるのも簡単でした。それに遠距離からの攻撃もメリルの投擲に比べれば威力と速度も大した事無かったんで余裕でした」
歳は盗賊達の方が断然上だろうけど、摸擬戦や実戦の数なら俺達の方が上だろうからな。
悪意を持った人間を殺すって経験は出来たけど、そこまで背中がヒヤッとする戦いにはならなかったか。
要注意人物って依頼書に書かれていたお頭もいつの間にか倒してたし。
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