その間に

セルシア・ロウレットへの手紙を書き終え、後は返事を待つだけ。

それまでの間に少なくとも一週間はあるだろうと思い、隣街の近くに拠点を置く盗賊を殺す事を決めた。

既にメリルとシュラにルーフェイスには確認をとってある。


今更準備する事もなく、盗賊達を殺すと決めた翌日に俺達は家を出て盗賊団のアジトへとルーフェイスの背に乗って向かった。


「ラガス様、昼間に襲撃を行うという事はその間に商人や冒険者を襲撃する者がいるのではないですか?」


「それは俺も思った。だから盗賊共を全滅させてから夕方までそのアジトを見張っとく」


大体それぐらいの時間になってくれば帰って来るだろ。


「なるほど。確かにそれぐらいの時間ならば全員がアジトに集まる時間ですね。ところで盗賊団との戦い方は先程話した通りで大丈夫ですか?」


「おう、俺とシュラは全力で潰しに行く。それでメリルがルーフェイスに乗って遠距離でどんどん潰してくれ。ルーフェイスも余裕があれば爪での斬撃とかで斬り裂いても良いからな」


『うん!! 適度に切断しとくよ』


日頃から鍛えて摸擬戦したりモンスターと戦っているから強くはなってるだろうけど、やっぱり盗賊団の強さがどの程度なのか今一解らないからな。

とりあえず依頼書に書いてあった大剣に炎を纏う男だけには気を付けておくか。


そしてルーフェイスに乗って大体四十分ぐらいか?

それらしい場所を見つけ、それらしい怪しい・・・・・・お兄さん、おっさん? を見つけたからここで合ってるだろう。


見張りをしているであろう四人の盗賊達は話に夢中になって俺達に全く気が付いていない。

足音とかは俺の音魔法で消してるから嗅覚上昇、強化とかのアビリティを持っている奴がいなければこの距離ならおそらくバレない。


「とりあえず魔弾で撃ち抜くか」


念の為、ここで声を出されると困るので魔弾を隠蔽して放つ。

魔弾を大きめにして放ったので着弾部分が大きく抉れた。


四人とも魔弾に抉られ、血が噴き出し行動不能になった瞬間は何も感じなかった。


「・・・・・・・・・・・・よし、大丈夫そうだ。いくぞ」


完全に死んだのを確認した俺はその場からアジトへと移動し、四つの死体を見る。


すると死んで間もない死体の匂いと、リアルで初めて見た人体の内部に腹からこみ上げる物を感じ・・・・・・吐いてしまった。

それも俺だけでは無くメリルとシュラ、三人とも吐いてしまった。


中はそうモンスターの物とは変わらない筈。だからそういう絵面には慣れていると思っていたんだ・・・・・・やっぱり駄目だったな。


けど、もう慣れた。

これで乱戦中に吐く事は無い。


『さ、三人とも大丈夫!?』


「ああ、大丈夫だ。もう落ち着いた」


「私も、大丈夫です。ふぅーーーー・・・・・・行けます」


「自分もっ、大丈夫っす」


さて、こっからは油断をしない。相手に情けを掛けない。

全力で殺す。涙を流しても殺す。命乞いをしてきても殺す。


何があっても殺す。



アジトの中へ入るとその構造は複雑な物では無かった。

途中の横部屋におそらく今まで奪ってため込んだ物がありそうな部屋があったが、今はスルー。


「声が聞こえてきましたね」


「ああ、数は・・・・・・まぁーーそこそこ多いみたいだな。取りあえず俺達の足音は引き続き消してある。けど盗賊達が固まっている場所には勿論光はあるだろうから普通にバレる」


「それなら開幕の一撃を派手にぶち込む形ですか?」


派手にか・・・・・・そうだな。シュラの言う通り派手にぶちかまそう。

大きい音ってのは案外武器になるだろうしな。

なら最初の一撃をかます直前にメリル達に万が一の為に耳に無音の効果を付与しておくか。


そして盗賊達が固まっている場所には直ぐに見つかり、中の光でギリギリ見えない位置から音の魔力を含んだ魔弾を十数生み出し・・・・・・派手にぶちかました。


魔弾に貫かれた奴らは当然死んだが、着弾と同時に発せられる音に耳をやられた奴らも何人かはいるようだな。

盗賊団たちも慌てて武器を取ろうとしているみたいだが・・・・・・良い感じに平衡感覚が狂ってるのか?


「ッシャーーーーーーッ!!!! ぶっ殺すッ!!!!!!」


自分に今一度気合いを入れる為にヒ〇マの言葉を借りて気分を昂らせて突っ込む。

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