浪漫のある言葉
「・・・・・・えっと、流石にその箱の中に入ってるような高価な物は受け取れませんよ」
『別に気にする事はありませんよ。本当に大切な物は別の箱にしまってありますから。その箱の中に入ってるのは私が人の姿でハンターとして生活していた時にダンジョンの中で手に入れた宝箱に入っていた物や、他のドラゴンと戦って買った時に戦利品として手に入れた物が殆どです』
いやいやいや、さらっと今凄い事言わなかった?
とりあえず話からして人の姿になれるアビリティを持っている。そしてそれを使ってハンターとして生活していた。そんで他の宝を貯め込むようなドラゴンと戦い、それに勝利して戦利品を掻っ攫った・・・・・・普通に凄いな。
いやぁーーー・・・・・・凄すぎてちょっと語彙力が低下してきたよ。
『それに、君はその歳にしてはかなり実力を持っている筈です。なのでもし君と同等の実力を持つ相手と対峙した時に勝負の鍵となるのは武器の性能です。箱の中には多数の武器があるので是非お好きなのを選んでください』
えっと、だからですねぇ。そう言われましてもこう・・・・・・恐れ多いと言いますか、流石に硬化過ぎるんですよ。
俺がその箱の中に入っている様な物は受け取らないと解ったのか、ルーフェイスの母さんは別の提案を出してきた。
『・・・・・・それでは私の力を与えましょう。ただし君が遠慮する程のものではありません』
「ち、力の一部をですか? それはどういった感じなのでしょうか」
『簡単に言えば君の眼を強化します。魔眼になるといった方がより分かりやすいですかね』
ま、魔眼かぁーーー。それはなんとも浪漫がある物だな。
でも目が魔眼になったら色が変わったりするのか?
『安心してください。魔眼になったとしても本来の力を使わない限りは目の色が変わったりしませんよ』
「そ、そうなんですか・・・・・・・・・・・・うん、それじゃその魔眼でお願いします」
「分りました。それでは少しの間目を瞑ってください、失礼します」
・・・・・・んっ、なんか目に外部から自分のでは無い力が流れ込んできてる感覚がハッキリと解る。
『・・・・・・終わりました。目を開けてください』
「はい」
今のところ変わったところは無いな。
『直ぐに変化は起こりません。能力は自分で探っていった方が面白いと思うので言いませんが、基本の能力を一つ教えます。これは人間の少年や三年から五年ほど戦いの場に身を置いたモンスターが習得する事が多い鑑定です』
鑑定!! それは嬉しい能力だな。てか、口振りからして能力は一つでは無いって事だよな。
自分で探っていくか・・・・・・まぁ、そっちの方がしっかりと体が扱い方を理解しそうだ。
『ただ、やはり何も物を渡さないのは母としていかがなものかと思いますので・・・・・・こちらをお渡ししましょう』
箱の中の物を物色し始めると一つの武器と武器より小さい物体を幾つも浮かばせて持ってきた。
『あなたの器用さが有ればこれを直ぐに扱いこなせるかと』
「こ、これは刀、ですか?」
『物知りですね。君の言う通り、これは刀です。名は狼牙瞬雷、雷属性の効果が付与されています。そしてこちらは砥石です。大量にあるのでたくさん持って帰ってください』
「あ、ありがとうございます」
結構な量があるな。マジックポーチに入りきるか? ・・・・・・おし、無事入ったな。
にしても刀か。俺は勿論前世を含めて扱った事が無い。おそらく父さんも扱った事が無いだろう。
そういえば漫画とかでは腰で斬る、なんて描いてあった気がするんだが・・・・・・いまいち思い出せない。
『そういえばまだ自己紹介をしていませんでしたね。私の名前はフェリスと申します。以後お見知りおきを』
「俺の名前はラガス・ゲインルートと申します」
「私はラガス坊ちゃまのメイド、メリルと申します」
「自分はラガス様の執事であるシュラっ、と申します」
『ラガス君にメリルさん、そしてシュラ君ですか。みなさん良い名前ですね。ところで一つお聞きしたいのですが、ラガス君達は将来ハンターになるおつもりですか?』
唐突な質問だな。元ハンターとしてはそういう匂いが解ってしまうものなのか?
「はい。学校を卒業したらハンターになろうかと思っています」
『そうですか・・・・・・それならばその時にルーフェイスも一緒に連れて行ってもらってもよろしいでしょうか?』
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