決勝戦
そして最後の戦い、決勝戦。
戦うのはセルシアとその婚約者である金髪優男。父さんが名前を教えてくれた気がするが・・・・・・忘れてしまった。
家の位的に考えれば負けられないのはセルシアの方。
でも、心情的に負けたくない気持ちが強いのは金髪優男の方か?
二人がリングに現れると会場が湧いた。特に貴族の子供達が。
二人と同世代やそれに近い年齢の奴らにとって二人はスターに近い存在なんだろうな。
セルシアの表情は変わらず無表情。
金髪優男の方も変わらず笑顔を崩していない。でもこっちから負けたくないって意志が感じられる気がする。
「ラガスはどちらが勝つと思う?」
「・・・・・・セルシア・ロウレットが勝つかと」
「その理由は?」
「金髪優男の剣の技量も十分に高いと思います。加えて細剣の突きに関しては的が小さいので攻撃を躱しづらいかと。ただセルシア・ロウレットの剣技も同等かそれ以上に高い。もしかしたら相手の突きに対してカウンターを決める事すら出来るかもしれない。それに剣の性質から金髪優男は自身の剣を使って攻撃の軌道を多少ずらす事は出来るかもしれません」
金髪優男にそれだけの技量があっても不思議には思わない。才能だけに胡坐をかいている様には見えないからな。
「ただ、金髪優男にはセルシア・ロウレットの攻撃を真正面から防御するという選択肢は無い筈です」
「・・・・・・かもしれないな。二人共剣を強化する技量も同等か少し差がある程度。まだ男、女だからといって力の差が出る年齢でも無い」
まぁ・・・・・・その力の差もアビリティの性能や個人の核の差で覆るけどな。
ともかく、金髪優男には悪いがセルシアが勝つイメージしか湧かない。
「そんなもっともそうな事を言いつつ、本当はあの子に勝って欲しいだけじゃないのラガス」
いや、全くもってそんな事無いからニヤニヤしながらそんな事を言わないで欲しい。いらん誤解が生まれる。
「そういった気持ちはありませんよ。客観的に見た感想を述べただけです」
「ラガス坊ちゃま。別に恥ずかしがる必要は無いのですよ」
ちゃっかりお前まで母さんのノリに乗っかるなよ。
寧ろそんな事は無いって誤解が生まれない様に否定してくれよ。
「メリル、隠せていると思っているかもしれないが、目が笑っているからな」
「それは失礼しました」
おい、せめて悪ノリした事実を隠そうとはしないのかよ。
「それでは、ラガス坊ちゃまがセルシア・ロウレット様と戦えばどちらが勝ちますか?」
俺とセルシアが・・・・・・てか、まずこの場で答えにくい質問をするなよ。声が小さいから周囲には聞こえていないかもしれないけどさ。
「・・・・・・・・・・・・普通の奴に効きそうな奇襲はあまり通用しないだろう」
音魔法の方の特に男に効きそうな奇襲方法は意味為さない気がする。
いや、そもそも向こうが音魔法という存在を知らない筈だが後魔法での攻撃そのものは通用するか。
魔弾の方は・・・・・・そもそも隠蔽の効果を付与すれば普通にいけそうだな。
「まぁ、やってみないと分らない言いたいですが。普通に無理かと」
「そういう事にしておこうか」
話を無理矢理切ってくれたのは嬉しいが、その意味有り気な笑みは止めていただきたいな。
そして審判の開始の合図と共に決勝戦が始まった。
先制攻撃を仕掛けたのは金髪優男。
見た感じ既に身体強化のアビリティを使っている。
さっきまでと速さが段違いだ。
斬撃は無く全てが刺突。ただ、だからこそ速い。
腕を伸ばし引いて、また伸ばして引く。それを繰り返す攻撃が斬撃と比べて届くまでの速さに差がある。
金髪優男並みの腕なら同世代の者にとったら十分に脅威な突き。
なんだが・・・・・・・・・・・・全部紙一重で躱しちゃってるよ。
婚約者だから練習風景等を見ていて目が慣れている、なんて可能性があるかもしれないけど、にしても凄い。
本当に踊っているように躱している。
攻撃が中々当たらない事にイラつき始めたのか金髪優男の顔が少し歪む。
それから金髪優男が一度吼え、攻撃が更に加速する。
既にセルシア・ロウレットも身体強化のアビリティを使っている。
けど、避け方が紙一重では無くなった。余裕を持って躱しているように見える・・・・・・何か意図が有りそうだ。
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