兎に角ヤバい
街での散策を終えて宿に戻り食堂で夕食を食べている。
やっぱり美味いな。料理も少しぐらい自分で造れるようになった方が良いかもしれないな。
外で野宿をするってなると、碌なご飯は食べられないだろうし。
この世界にはインスタント食品なんて無さそうだからな~~~・・・・・・はぁ、カップラーメンやカップ焼きそばが懐かしい。
それと、全く関係ないけど相変わらず不機嫌なままだなアリクの奴。
俺に勝負で負けてからずーーーっと眉間に皺が寄っているし。それあんまり長く続けていると感じの小みたいな感じで後が残るんだけどな・・・・・・まぁ、俺の知った事では無い。
「王都の料理は本当に美味しいわ。ラガスもそう思うでしょ」
「ああ、確かにそうだねクレア姉さん。でも、明日のパーティーで出る料理はもっと美味しいんだよね?」
この宿の従業員に聞こえない程度の小さな声でクレア姉さんに訊き返す。
「ええ、そうよ。この店の料理とお母様の料理も美味しいけれど、パーティーで出た料理は更に格別の美味しさだったわ」
クレア姉さん・・・・・・美味しいのは分かったから口端から少し垂れている涎を拭きなよ。
「まっ、今回は約一名おバカさんはその料理を食べる事が出来ないけれど」
涎を拭いたクレア姉さんがバカにする様な・・・・・・いや、実際にバカにしているのか。そんな笑みを浮かべながらアリクを挑発する。
「おい、クレア。お前ぇ・・・・・・俺に喧嘩売ってんのか」
「別にそういう訳では無いわ。ただ単純に事実を述べただけよ。というか、あなた自分がバカって自覚あったのね。良かったじゃない、一つ賢くなって」
まぁ、確かに事実を述べただけではあるんだろうけど、それは建前に当てはまるんじゃないのか?
アリクもクレア姉さんの挑発に乗らなければいいのに。
クレア姉さんの言う通り自分がバカだって認めた事になるのに・・・・・・直ぐに頭が回らない奴だな。
「て、めぇ・・・・・・ぶっ飛ばされたいみたいだなぁああ!!!」
「うるっせーーーよアリク。食事中に大声出すなよ」
「ほがっ!!??」
周囲に多くの客がいて賑わっているとはいえ、大きな声を出せば少なからず視線が集まる。
面倒事を避けたい俺は床に跳弾の効果を付けて魔弾を放った。
そして魔弾を良い感じに跳ね返ったのか、アリクの睾丸に直撃したようだ。
「アリク・・・・・・お前ぇ、本当に容赦ないな。お陰で視線が集まらずに済んだが、もう少し他に方法は無いのか?」
「・・・・・・・・・・・・俺が思い付く限り、男を黙らすには一番手っ取り早い方法はこれしか思い出せないので」
テーブルに額をあて、股間を両手で抑えるアリクを見て父さんは俺がどうやってアリクを黙らせたのか理解したみたいだ。
ただ、表情は苦笑いであり他の方法は無いのかと尋ねられたが、正直これが一番やりやすい。
刃かにも方法があるのかもしれないけど、それをやったら最悪アリクが死ぬかもしれないし。
「・・・・・・あぁ、なるほど! ふふふ、そう言う事だったのね。良い事を知ったわ」
あっ、クレア姉さん今のアリクの姿が、勝負の時に俺の魔弾を喰らった時と重なって男の急所が睾丸だって解ってしまったみたいだな。
まぁ・・・・・・いずれ知る事ではあるんだろうけど、クレア姉さんがやれば力加減間違えて二つの内一つは潰してしまうそうだな。
夕食は取りあえず問題なく終わり、体を濡れたタオルで拭いてからベットにダイブした。
そして翌日、正装に着替えてアリクを宿に残してから王城に向かった俺は大きく口を開け、固まってしまった。
「いやぁ・・・・・・冗談みたいな大きさだな」
高さもあり得ない程高い。というか、何坪あるんだ?
兎に角、何故ここまで大きくする必要があるのか分からない程王城は大きかった。
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