攻撃だけでなく

俺とアリクの戦いが終わった後、ウォッツさんに王都に来た時にいつでも武器の整備をしてやると言われた。

後四年もすれば俺も王都の学校に入学するのでその時にはお世話になろう。


そう言われた時にアリクは俺がウォッツさんに認められた事が気に入らないのか、また俺を睨みつけて来やがった。そんなに俺を睨んでも現状が変わる訳じゃ無いのに。


にしても・・・・・・こいつ本当に落ち込まないな。

いや、パーティーには出席出来ないんだからそこに関しては落ち込んでいるのか?

取りあえず二度も俺に負けたのにも関わらずショックで落ち込まず、俺に対抗心を燃やしているところは称賛に値する・・・・・・かどうかは分からんがそこだけは凄いなと感じる。


「ラガスも面倒なバカに目を付けられたわね」


「ははは、確かに面倒な阿保に目を付けられたかもしれないね。相手が実の兄ってのは複雑だけど」


だってほら、俺が学校に入学すればアリクが何年で卒業するのか知らないけど、最短で卒業した場合でも一年間は同じ校舎内にいるんだぞ。


絶対にアリク絡みで面倒事に巻き込まれる筈だ。

・・・・・・いや、クレア姉さんも一緒だからあいつの暴走を抑えてくれるか?


まぁそこら辺はその時になってみないと分からなさそうだな。


「それにしてもラガスの魔弾は相変わらず凄いわね」


「魔弾を撃つだけならクレア姉さんも直ぐに出来る筈だよ。いや、クレア姉さんは水魔法を使えるから水弾になるのかな?」


「水弾ね・・・・・・でも、それってウォーターボールの方が威力があるんじゃないかしら? 攻撃範囲もラガスが放つ魔弾よりも大きいし」


・・・・・・まぁ、間違ってはいなかな。

今の俺ではそこまで大きい魔弾を放つ事が出来ない。最大で直径十五センチぐらいが限界だし。


「それはどうかな。多分だけど、魔弾を放つ方がウォーターボールを放つより準備時間が短いよ。無詠唱や高速詠唱、又は詠唱破棄のスキルを持っているなら別だけど」


この世界で魔法を発動する場合、詠唱と言う日本人にとって中二病の人以外が言うのが中々恥ずかしい言葉が必要になる。

そしてただ詠唱を唱えれば良いというものではなく、高速詠唱のアビリティを待たずに早口で唱えれば魔力を消費するだけで魔法は発動しない。


その点、魔力を集めて球体にして放つ魔弾はそこまで時間を必要としない。


それに、無詠唱と高速詠唱は努力とある程度の才能で何とか習得できるかもしれないけど、詠唱破棄は完全に才能に左右される。

習得している人があまりにも少なくてレアアビリティって言われてるしな。


「確かにそうね・・・・・・でもラガスみたいに魔弾っていうアビリティを持っているなら別だけど、持っていなかったら威力は大した事が無い気がするのよ」


ん~~~~、確かにそれはそうかもな。俺は魔弾のレベルが上がれば威力も自動で上がるけど、普通の人はそうはいかないか。


「そうかもしれないけど、単純に相手の詠唱の妨害や攻撃の軌道をずらす事にも使える筈だよ。何も攻撃だけが使い道じゃないよ。後、魔力の消費量が少ないのも利点だと俺は思うな」


「・・・・・・確かにそうね。視野が狭かったわ。ねぇラガス、私に魔弾の扱い方を教えてくれない?」


魔弾の扱い方か・・・・・・まぁ、クレア姉さんだから教えても良いけど唯ではな・・・・・・。


「良いよ。でも、二つ条件があるけどいいかな?」


「ええ、なんでも良いわよ!!」


・・・・・・クレア姉さん、もうちょい言葉を選んで発言しようよ。


「えっと、まずクレア姉さんが学校を卒業するまで使えるようになった魔法、魔法の詠唱内容にバトルスタイルの変化を教えて欲しい。家にいる間は口頭で教えて欲しいけど、学校に入ったら手紙で良いよ」


ちょっと好条件過ぎるけど大丈夫かな?


「分かったわ。魔法をメインに戦う人対策に使う資料って事ね。任せなさい!」


ああ、理解せずに了承したんじゃなくて、ちゃんと俺の意図を解って了承してくれたんたんだ。

というか・・・・・・全く関係ないけど、クレア姉さんって結構頭の中戦いで埋まってるから中々結婚出来無さそうな気がする。


「ありがとう。それと・・・・・・・・・・・・をお願いしたいんだけど良いかな?」


「ふふ、はっはっは。確かにその可能性は十分にありそうね。それも私に任せなさい!!」


交渉成功って感じだな。

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