終わり
団長と副団長の遺体は火葬された。
あまりにも死者への尊厳が無い遺体であり団長の親であるグラディウス王国侯爵が決めた事として火葬での葬儀が行われる。
遺体は燃やされ、土魔法で砕かれ白磁器の壺に納められグラディウス王城に隣接する教会の祭壇に2つ据えられた。
身内である騎士隊が並び、その先頭に立つ
…… グラディウス王国の最強は騎士団長シルビアーナだった。
彼女が死んだ場合は副団長ロッキーがそれを引き継ぐのが筋だが…… 彼も死んでしまった。
戦争の余韻があり他国の斥候が潜んでいる中で経済は元マッシャルーム国から奪い補充できるが軍事力には不安があるので急遽に冒険者ギルドマスターのゲルハルが充てられた。
各国内に支部がある冒険者ギルドかは異論があったが、言い換えれば実力者のゲルハルがグラディウス王国の騎士団長になったと伝わるのが早くグラディウス王国の国王はそれを良しと判断した。
ゲルハルは孫娘を騎士隊に推挙したようで彼女は副団長の地位に将来収まる可能性のある場所にいる。
もう、俺との婚姻等は考えられないだろう。
人は仕事に忙殺されると多くは色欲が色褪せるものだ。
俺も一応は関係者として教会のベンチ末席で眺めていたが団長と副団長の遺体の映像がフラッシュバックして居た堪れないなくなり席を外した。
外ではシャティが路上に膝をつき、教会に向かい祈りを捧げていた。
彼女もシルビアーナの遺体を見た…… 実に悪い事をしてしまった。
葬儀前、「参列はしないのか? 」
という問いには震えるばかりだったのだから。
「ダンデスさん…… 」
「ああ、 行こうか」
俺とシャティは国を出る。
嫌な記憶の比率が高くなり過ぎた。
2人は根無し草。
ヨーネフ氏との約束である茶会も、もういい全てが御破算だ。
「さて、ゲルハルに貰ったマジックバックに旅の食料やらも入れた。両親と顔を合わせなくていいのか? 」
うんとシャティが頷く。
捨てられた事で親との恩義は終わったようだ。
悲しい事だ。
ゲルハルとは昨夜、話をした。
俺が国を出ると言うと頷き、静かに酒を飲み明かした。
こんな寂しい酒をゲルハルと呑むとは思わなかった。
餞別に貰ったマジックバックを撫でる。
——————————— またなゲルハル。
門をくぐって草原をシャティと歩く。
キュッと握ってくるシャティの手が寂しさを紛らわしていく。
そうか……
「シャティ」
「はい、ダンデスさん」
「隣国に辿り着いたら…… 結婚をするか? 」
「——————‼︎‼︎ はい、はい‼︎‼︎ 」
向かい風は緩く足取りはゆっくりだが、希望を信じて俺とシャティは歩き出した———————
まぁ、隣国に辿り着いたところで、そんなにゆっくりと出来る事は無かったんだがね……
鍵屋なんてダメな能力と裏切られたけど、ちょい待ってこれは使えますよね? @ais-
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