第二四章 大物

329.アキラ、想像が崩れる。

 おい・・・マジかよ・・・。いやぁ~~~我ながら、けっこうこの異世界に馴染み始めてきたと思ってたよ。




いやでもさぁ・・・いきなり、ご当地キャラグランプリの予選会場に居そうな奴出てきたよ・・・。




( ◉ - ◉ )




眼圧がすごい・・・。眼圧がすごい・・・。なんか僕めっちゃ見られてるんだけど、じっーーーと見られる事、4~5分・・・。





目が怖い小さなご当地キャラは、依然としてこちらを見ている。




( ◉ - ◉ )




いやぁーー怖いっす。なんなんですか…、怖すぎなんよ~。このご当地キャラクター。




( ◉ - ◉ )




睨み合うこと、十数分。ついに、こわ可愛ご当地キャラが何かをしゃべる。




( ◉ - ◉ )




「タネッコ…。」




「たねっこ…、えっ…この種がほしいのか…? 」




持っていたスモモの種を差し出すと、目が怖い妖精はこちらをガン見しながら、種に近づく。




そして、種を両手で抱えると、




( ´ 3 ` )




目が可愛くなる! だが、今度は口がキモくなる!! なんなんだこの妖精、掴み所がまったくわからない!!




なんだろう・・・。いちいち、行動一つ一つのどこかが残念で可愛い!!




よし、この妖精の名前は「残念ちゃん」だ!!




「残念ちゃん」は、自分と同じくらいの大きさの種をどっこいしょ! どこいっしょ! そんな風な掛け声を言いながら、抱えている。




「いちいち、残念だな・・・。」




( ´ 3 ` )



な風な顔をして、先程のような敵意は感じない。




そうして、「残念ちゃん」は懸命に種をどこかへ運ぼうとしている。多分、これは住処に持っていくな。




そう思いながら、「残念ちゃん」を観察していると、彼はどんどん森の奥へと入っていく。




∴ ∴ ∴ ∴ ∴




そうすると、少し開けた場所へとたどり着く。




そこには、所々、家らしきようなものがチラホラとあり、これはもしや、「残念ちゃん」の竪穴式の村なのかと思わせるものであった。




すると「残念ちゃん」が、




「アピンチャーーズ!!! ミッセブラァ!! 」




そう言うと、他の妖精ちゃんたちが一斉に竪穴から出てくる。




( ◉ - ◉ )




( ◉ - ◉ )




( ◉ - ◉ )




こちらを可愛怖な目で見るが、すぐに「残念ちゃん」と同じく敵意を感じない顔になる。




集落へと帰宅した「残念ちゃん」は、種を持って家らしき竪穴に入っていく。




家の近くにこんな妖精の集落があったとは思いもしなかった。




うまいこと、隠れていたのだなと思いながら、彼らと微妙な間を過ごしていると、




残念ちゃんが何かを担いで竪穴から出てくる。その際、両手一杯に黄金に輝く物体を持ってきたのであった。




そして、徐にそれを僕の目の前に置き、全体の顔のパーツが中心に寄った表情をする。




(  ∵  )




うーーーーーん、わからないんだよなぁ~。君達の表情が、何を意味しているのか。全然わかんないよ・・・。




そうしていると、残念ちゃんが何かを呟く。




「テラ。ギブユーユー、金●マ。ギブユーユー、金●マ。モリモリゴー!! モリモリゴー!! 」




お、この残念ちゃん達、さてはけっこう俺らの生活圏に入り込んでたなと、




少し考えてみると、気持ち少な目に、肉が剥ぎ取られてたりしてたなぁ…と思う。




「テラ。ギブユーユー!! 金●マ!! 」




よし、何かよくわからないが、これを受け取らないと、こいつらが金●マを連呼することだけはわかったぞ。




妖精が金●マ連呼はなんだか、僕の中にある神秘的で不気味な妖精イメージを一撃で粉砕していく。だが、良い意味で、浸しみ易いキャラであったのは、間違いなかった。

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