328.アキラ、見てしまう。

 僕はさっそく、木に実っている熟れたスモモたちを採っていく。




「これなら、皆、喜んで食べてくれるだろう。」




そう思いながら、20個ほど採って、残りはまた熟れた頃にと、そのままにして家へと帰宅する。それは昨日のことであった。




「ああああああああ!!! 忘れたぁあああああああ!! 」




そういえば、スモモ。収納してたのすっかり忘れてた。暑さにやられた少女たちが薄着でだるそうに過ごしながら、こちらを不思議そうに見る。




こりゃ、相当まずいなぁ・・・そう思いながら、だるそうにしている彼女たちにスモモをプレゼントしていく。




皆、その果実を喜んでくれる。




「ええ、アキラ様。これなんですか? 始めてみる果物ですわ…。 」




テラは鼻をクンクンさせて、香りを嗅ぐ…。そして、ふぁーっと目を細める。




ええ匂いやろ、わいもその匂いすきやで。それでは、安全性の証明も兼ねてスモモを食べる。収納の魔術に一日おいた果物は果たして安全なのであろうか・・・。




答えは甘酸っぱくておいしい!! 自然と顔がほころぶ。その様子を見ていた彼女たちも恐る恐る、スモモを食べる。




「うん!! 甘くておいしい!! アキラ、これ美味しいわ!! 」




イリスたちはその味を気に入ったのか、もう一個とねだってくる。そうして、皆が満足して食べ終わる頃には、あれだけあったスモモの果実はなくなっていた。




スモモ好きほんと好き。




∴ ∴ ∴ ∴ ∴




で、スモモの種は全部まとめて、ベリーの木々が生い茂るゾーンの近くに植えていく。我ながら、無駄のない行動だと自画自賛していると、




近くの茂みから、小さな可愛らしい人形みたいな妖精がこちらをじっーーっと見ている。




( ◉ - ◉ )




「なんだ妖精か・・・。ついにやべーもん見始めたぁ・・・。」




そんなことよりも、今日の晩御飯なんだろうなぁ・・・。カレーかな、辛子蓮根かな・・・。とそんなことを考えていると・・・、




「んんんんんんんんんんんんんんん? 」




なんだ、今の何かとてつもなくメルヘンチックで、とてつもなくファンタジーなモノがこちらを見ていたような気がしたのだが・・・。




もう一度、目を凝らして先ほどの茂みをよぉ~~~く見てみると、先ほどの視線と目が合う。




( ◉ - ◉ )




「・・・・・・。」




めっちゃこっち見てるよ。何この妖精可愛いだけど、キモい!! もう一度、言うキモい!! 目がガン見でキモい!! 容姿はファンタジーなのに、目だけが異様に可愛げない。




なんだよ!! 熊本のご当地キャラクター並みに目が死んでるじゃねぇか!! 




えっ・・・なにこの子・・・。めっちゃこっち見てる・・・やだ・・・、怖い怖い怖い・・・。僕は未知の存在との遭遇に困惑していると、




「宿主、ラーニング開始しますか? 」




そう精霊さんは、たくましくも先を見据えた行動を提示してくる。




やっぱり、精霊さんは頼りになるなぁ・・・。そう10%思いつつ、残りの90%は




「とりあえず、ビール!! 」的な感じのとりあえず、ラーニング!! 的な流れで妖精の思考をラーニングし始めたのであった。

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