327.アキラ、粘を制する。

 そうして、翌日。




罠を上がってみると、ずっしりと何かが入っている気がする。




慎重に罠を陸地へと持っていく。




「ヌルヌルヌルヌルヌルヌル」




へへへっ…入ってる入ってる。うなぎが入ってる。




そいつを逃がさないように、籠にいれていく。




今日、獲れたのはその一匹だけだったが、コストパフォーマンスを考えるとめちゃくちゃ楽である!!




へへへ、これからいっぱい獲っちゃるけんな…。




そうして、再び罠を沈めて、家へと変えるのであった。




家に帰ると、若干夏バテ気味な彼女らがだるそうにしている。




「ああ、アキラさん。おかえりなさいです…。」




テラが少しだるそうに出迎えてくれる。そんな彼女らにウナギを食べてもらおう!!




 さて、スキル「職人」の出番だ。まず、ウナギってどう捌くんだっけと考える。




「清潔な釘で頭を固定して、切るんやで…。 」




スキル「職人」さんが囁いてくれる。やっぱ、職人さんは頼りになるなぁ…。




でも、めっちゃうなぎくん活きが良すぎて、釘打てないんですけど。




どうしよう…めっちゃヌルヌルヌルで固定できなくて、頭に釘させないわ…。




焼くわけにもいかないしな…どうしよう。その時、だるそうにしていたイリスと目が合う。




「あっ…そっか。凍らせばいいんだ!!」




そう思いつく。彼女にそのことをお願いしてみると、




「この蛇みたいな奴を凍らすの? 」




ウナギを見て、不気味そうにしながらも、それを仮死状態になるぐらいに凍らす。




そうすると、先ほどまで活きが良かったうなぎくんは、死んだように動かない。




というか、これから本格的に死ぬのだが、まぁそれは置いといて、釘で頭を固定する。




そうしたら、スキル「職人」さんの指示のもと、魚と同じ要領でさばいていく。最後に小骨をとっていけば、はい! 下処理完了!!




それでは、さっそく焼いていこう!! うなぎの身を串を刺して、串焼きしていく。




そうして、上から、塩をまぶしていく。ただ塩をかけただけでは面白くないので、




気持ちセクシーにアダルティーに塩を天からまぶす。




心はサングラスをかけたダンディーおじさんだ!!




その香ばしい匂いと姿に、ダルそうにしていた彼女らがこちらを凝視して近寄ってくる。




「主がなんだか色っぽくみえます。」




そう口々に色っぽいと誉めてくれる。すると、精霊さんも




「宿主、おめでとうございます。スキル「色気」を習得しました。」




とお世辞を述べてくれる。




そうして、完成するウナギの塩焼き君!!




それをみんなで分けて食べる。




で、味は?(ダンディボイス)




「うまい…っ!!」




ただその一言であった。心なしか皆の顔にも精がついたような気がする。

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