319.アキラ、投げ続ける。
燃え尽きた様子からなんとか復活した頃には、泥団子は乾いてきれいな球体になっていた。それを壊さぬよう慎重に持って、
「ゴー!! ア! フライ!! アウェーーーーイ!! 」
と言って、とりあえず投げる。
泥団子は弧を描いてポーーーイと飛んでいく。そうして、地面に落ちて砕ける。
ちょっと、待って・・・自分で投げておいてなんだけど、何これすごい虚しい・・・。まるで、子どもが一生懸命積み上げた積石を崩すような気分に苛まれる。
だが、これも練習のためと思い、その気持ちを押し殺して、投げ続ける。
「パウゥゥゥゥゥワァアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!! 」
「カリンンンンンンンンンンンンントゥウウウウウウウウウウウウウウウ!!! 」
「ンーーーーーーーアアアアアアアアアッァァァァァァァァァァ!!! 」
変な掛け声を出しながら、何度も泥団子を投げ続けているうちに、コツがわかってきはじめて、球速はどんどんと加速していく。
数十球ほど投げた時、精霊さんが報告する。
「宿主、おめでとうございます。新しいスキル【ピッチャー】を習得しました。」
おおおお、そんなスキルがあるかと驚きつつも、そのスキルの程を確かめて、投げてていくと、思った方向に投げれている気がしてくる。
もしやと思い、変化球とか投げれるかなと思い、投げてみると曲がる曲がるすごい曲がっていくではないか!! すごい曲がって思い通りのところへ届く。
「スキル【ピッチャー】って・・・とんでもないスキルだな・・・。」
そうして、どんどんと投げていくうちに、泥団子は100キロほど出てるのではないかと思うほどの速度が出る。
そうして、最後の泥団子を投げる頃には、思い通りに玉は曲がり、速度は申し分ないほど出るのであった。
これなら、あの不気味な少女になんとか対抗できそうだと考えて、再びアルテシアに、魔術で水を出してもらう。
しかし、今回はそこに塩を投入する。つまり、塩水で泥団子を作っていくのだ。
当然の如く、手の水分は塩水に取られていき、シワシワになっていく。
まるで、おばあちゃんの手の如くシワシワである。
「あああああ、干からびる~~~。助けてぇぇ!!! 」
と近くにいたアルテシアにゾンビのような仕草をとると、
「もうアキラ様ったら、おかしな人ですね・・・。」
まるで、愛おしい母の眼差しを向かられて、苦笑いされる。うん、僕ってほんと子どもだね!! と少し大人になるのであった。
手の水分をとられながら、出来た塩泥団子を乾燥させたら、
ついに完成する完成する対不気味少女決戦兵器・・・SIODAMA!!
表面には、白い塩が無数についており、ミネラル豊富なご様子である。
翌日、それを袋にいれて不気味な少女と出会ったベリーの森へと向かうのであった。
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