320.アキラ、欺く。

 暗くジメジメしたベリーの森にやっと着く。その空気は、前回死にかけた時と同じように、若干肌寒く薄暗い雰囲気であった。




ハンターセンスを敏感にして、周囲を歩く。




「宿主、だんだんと周りが静かになってきましたね・・・、ご注意を・・・。」




その静けさを僕も感じとる・・・。背筋を冷や汗がスゥーと伝う。




その時、ハンターセンスがヒシヒシと警告を発し始める。来たかと思い、辺りを見渡す。奴は突然現れた!!




「ハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!! 」




あの不気味な声が森中に響き渡る。そうして、後ろを振り返ると不気味な少女が立っていた。




その瞬間、全力で逆方向に走る。




「キタキタキタキタ!!! にげろぉおおおおおおおおお!!! 」




前とは違い、奴に近づきすぎたら、凍らされることは承知しているので、神経を可能な限り、電気で強化して、脚を早く動かす。




そうすることにより、前よりも速いスピードで走っている。森の中を全力疾走しても、不気味な少女は追い掛けてくる。むしろちょっとずつ、近づいてきている。




近付かれたら、死ぬ!! そう思った瞬間には、手が動いていた。後ろを向いて、7つある塩玉のひとつをストレートで、投げつける。




塩玉は、狙い通りに少女へと向かっていく。




「やったか!? 」




そう思った瞬間、懸念していた氷の盾が形成されて、塩玉を防がれる。無情にも塩玉は氷の盾に阻まれて、砕ける。




「ハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!! 」




と少女はその攻撃を嘲笑いながら、盾を見せびらかす。




少しイラっと来るが、これでいいのだこれで・・・。そう思いながら、再び走る速度を上げて逃げる。再び、距離をとったら、今度は二球連続で投げつける!!




一投目は、ど真ん中ストレート!!




不気味な少女は盾を真正面に構えて、それを防ごうとする。




その瞬間に、二投目を投げる。




それは上向きに投げられる。敵は、それは当たらないと予測し、気にも留めようとしなかった。一投目が、真っ直ぐ進んで、盾にぶつかり砕ける!! 




不気味な少女は、再び笑う。




「ハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハッ・・・!? 」




その時、上向き投げた塩玉が急に、方向を変えて急降下して、少女にクリーンヒットする!! 




「ざまぁみろ!! 」




二投目に投げた塩玉は、フォークボール、そして、スキル【ピッチャー】の効果も相まって、ドえげつない曲がり方をしたのである。




だが、その一撃は不気味な少女の琴線に触れたのであった・・・。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る