239.アキラ、木霊を感じる。

 衝撃の事実に、少し驚くがよくよく考えれば、その可能性もなくはないと考える。




「もう! おじいちゃん、旦那様が困ってるじゃないの! 」




とまゆきが祖父に対して少し怒る。ご老人カラクは、




「ああ、すまないすまない。ましろちゃんを助けてくれた人が、どういう奴か確認したくてな。それに、まゆきの夫に相応しいかも、判断しなくちゃな!! 」




と言って笑顔を見せる。孫には甘いのは、どこの世界でも一緒のようだ。おばあちゃん元気かな・・・。ふと元の世界のことを考えてしまう。




「それでは、旦那様。さっそく採りに行きましょう!! 」




道具を準備しながら、まゆきはそういうのであった。




 精霊が木霊しそうな鬱蒼と茂る森を進んでいく。そうして、斜めの坂が目の前にそびえ立つ。どうやら、これが山とことかとすぐに納得する。




そうして、滑り落ちない様に登っていく。この山は不思議な雰囲気を醸し出しており、ただの山ではないことに気付く。




「旦那様も、気付きましたか? この山は、精霊が住まう場所として、村では特別な場所として、崇めているんです。」




そんな特別な山の木を切っても大丈夫なのだろうか。そんな疑問が出て来るが、




「旦那様は、雷神様ですので、神が間伐をやってくださる。ということで、山の精霊たちも喜んでいるように感じます。」




その言葉を聞き、安心して木こりができる。




そして、間もなく頂上付近に到着する。山の頂からの景色は、絶景であった。そして景色をずっと見守ってきた頂上の木からは、神々しさを感じざる負えなかった。




「木の精霊よ。汝を切ること、お許しください。その木は我が村の繁栄に使わせてもらいます。」




とまゆきは呟き、木に手を当てて祈る。




「旦那様、それではお願いします。」




そう言って、木を切る合図を出す。




「汝、我が血肉。無駄なく使い給へ。」




切る直前、そんな声がしたような気がする。多分、これが木の精霊だろうと考え、




「承った。」




と呟いて、木に斧を振りかざしていくのであった。しばらくの後、木は切り倒される。その丸太を担ぎ、山を降りていく。不思議と山から、感謝されている気持になった。




そんな不思議さを感じながら、山を降りていくのであった。




川の近くに、自生する青い花の植物も狩り取っていく。なんだか、大麻らしい植物に、少し驚く。




まゆきが、それを刈り取ってくれる。これでご老人から、指示されたものを集めたのであった。

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