240.アキラ、長弓を作る。

 青い花の葉は、見覚えのある葉の形をしていた。もしかして、アレですか。とその疑問が頭を支配していた。それとなく、まゆきに聞いてみる。




「なぁ、もしかして、この葉っぱを焼いて吸うと気持ちよくなる? 」




とストレートに聞くと、まゆきは




「そんなわけないじゃないですか。」




と笑い始める。どうやら、この異世界の麻らしき植物には幻覚作用はないらしい。それなら、安心である。




そうして、3~5mほどある青い花の茎を刈り取っていく。




「昔から、この草から紐を作って、いろいろなことに利用してきたんです。」




そう、まゆきは誇らしげに、説明してくれる。この植物すごいな、と思いつつ、僕も刈り取りを手伝っていく。そうして、ある程度刈り取って村へと戻る。




そうして、麻らしき植物は村の皆の服なり、縄となり生活になくてはならないものなのだと理解する。




 その後、言われた通りのものを、ご老人カラクの待つ家に持っていく。




「おお、持ってきたか。どれどれ、うん! どれも最高にいい物だな。よし、それじゃあ、まずはこの木を真っ直ぐな板にしていくぞ。」




そういって、丸太をクサビで、割っていくよう指示を受ける。




『コンコンコン!! 』




と丸太にクサビを打ちこんでいく。慎重に慎重に、丸太を半分に切断していく。




『コンコン・・・コン・・・パッカ。』




そして、木はきれいに割れる。そして、別の枝の先っちょを燃やしえんぴつのようにして、印を描きこんでいく。




それが、できたら、道具を使って切断面を少しずつ削っていく。木の板が、前の弓より格段に大きい弓の原型が作られていく。




ご老人の指導の元、それを丁寧に削っていく。




そうして、完成する柄。それに弦を通すため、青い植物の茎を紡いで、紐を作る。紡ぎ方はまゆきに教わりながら、紡いでいく。




玉にならない様に、集中して紡いでいく。すべてはあの大猪を射るために、そう考えながら、紡いでいく。そして、紐が完成する。




後は、弓を思い切りしならせた状態で、両端に弦を巻き付けていって、微調整をした後、長弓ロングボウが完成するのであった。




その新しい弓からは、不思議な力が宿っているような気がする。これならば、あの大猪をいることができるかもしれないと感じさせる。




そしたら、長弓用の矢も新しく作っていく。これは手慣れた様子で、どんどん作っていく。




ついに、新しい弓矢を手に入れるのであった。

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