238.アキラ、血縁を知る。

 単刀直入に聞く。




「あそこにある巨木を貫ける弓矢を作れる人を知りませんか? 」




老婆は答える。




「巨木を貫く弓矢ですか・・・。雷神様、難しい難題を申されますね。」




だが、その顔は微笑む。




「その顔、どうやら目星はついているようですね。」




そう問うと、老婆は答える。




「この村、一番の弓職人、カラクならそれができましょうぞ!! 」




その言葉を聞いて、心が高鳴る!! それを見越してか、老婆は村はずれの一軒の家を指さす。見た感じ、頑固そうな職人なんだろうなと予想がつく。




そして、ハンターセンス君が告げる。めんどくさい事が待って―ますと。




なんとなく予想はつくが、他に選択肢はないので、早速カラクという職人に会いに行くのであった。




 『トントン!! 』




と扉を叩く。無反応。




『トントン!! 』




ともう一度、扉を叩く。




「なんでい!! 」




勢いよく扉が開き、頑固そうな老人が出て来る。一目でわかる。嗚呼、こちらのご老人がカラクさんですね!! 




ご老人カラクは、如何にもこだわり職人という風貌であった。そして、僕をじっくりと観察する。




「ああ、用件はわかるぞ。お前さん弓の心があるな。ここ来たということは、わしの作る弓がほしいんだろ。」




わーい、話が早くて助かる!! そう喜んだ顔をすると、ご老人カラクは、渋い顔で。




「ああ、いいだろう。お前さんには、孫の借りがあるし作り方を教えてやろう。ただし、最高の弓を作るには、最高の素材が必要だ。」




ああ、これはあのパターンだと、ハンターセンス君が告げる。




「これから言う、材料を取ってきてくれ。この通り、わしはもう若くない。だから、材料を取りに行くのは、無理だ。」




そうですよね。そうして、ご老人カラクは最高の素材の内容を言い始める。




「話は簡単だ。村のはずれにある山の頂上の木を切ってくること。弦の糸は、その山の近くを流れている川の近くで、自生している鮮やかな青い花。




その茎から作る。だから、その花ごと持ってきてくれ。それぞれの場所は孫娘のまゆきが知っているから、頼むんじゃぞ。」




なるほど、なるほど、麒麟の毛皮とか来るかと思ってたけど、案外簡単そうなお使いで、ほっとする。




ご老人、まゆきのおじいちゃんだったのね、へぇ~、意外、顔は全然、似てないね・・・。




「え!? 」




僕は今日一で、その衝撃の事実に唖然とするのであった。

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