237.アキラ、堂々たる。
僕とまゆきはエルフの村を目指す。道中は、何事もなく順調に進んでいく。そうして、鬱蒼と茂る森の中へと入っていく。
「旦那様、もう少しで着きますよ。」
とまゆきは高鳴る気持ちを抑えられずにいた。それもそうだ、久しぶりのふるさとへの帰還に心が躍っているようだった。
そうしてエルフの村へと続く洞窟に到着する。前回とは違い、その洞窟からは、異様な雰囲気は感じない。
「あぁ! 雷神様! それに長老んところのお孫さん! 」
と洞窟の上の林から、ひょこっと、エルフさんたちが顔を出して、あいさつをする。
「こんにちは。」
と普通に挨拶をする。前に訪れた時は違い、超ウェルカムな雰囲気であった。あと、僕、雷神様になっとるやん。
まぁ、それは置いといて、まゆきの案内で洞窟の中に入っていく。この洞窟は、げに複雑で案内なしでは、迷ってしまいそうな構造ではある。
そして暗い洞窟を進んでいくと、向こうに光が見えてくる。ついにエルフの村に到着するのであった。
「みんな、ただいま。」
突然の訪問に、村中の人々は驚く。僕とまゆきの訪問に、村は騒然とするのであった。
その中で、一際は突然の訪問に喜び、駆け寄ってくる姿があった。幼女先輩、ましろちゃんその人である。
「まゆきねぇええええ!! 」
そう言って、まゆきの元に駆け寄り、姉妹の感動の再会を果たす。
「あ、それと雷神様。」
ははは、もうそれ確定なんだね。そして瞬く間に、騒動を聞きつけて村中の人々が集まってきて、まゆきの帰省に大層喜ぶ。
その後、私は案の定、祭られることになる。やっぱりこうなるのかと予想はしていたが、祭られるのは、なんだ気恥ずかしい。
だが、前の僕とは違う。パワーアップしたスキル【平常心】がその気恥かしさをかき消してくれる。それにより、村の皆の神のイメージを壊さないように、堂々とした振舞いをする。
「こりゃー、すごい。前よりも雷神様は逞しくなってないか!! 」
「ああ、おらもわかるだ。こりゃ神々しいお姿じゃ。」
と村の皆も、その変化に気付く。まぁ、いろいろと死線を越えましたからね。そりゃ、変わりますよね。
そんなことを考えているうちに、老婆がやってくる。
「雷神様、お久しゅうございます。」
「どうも、お久しぶりです。」
老婆は、僕の目を見て
「なにやら、見ない間に神々しくなられましたね、それで今日訪れたのは、どういった理由で。」
そう言って、早速、本題に入ってくれるのであった。
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