227.アキラ、本を欲す。
翌朝、僕は昨日に引き続き、村を目指している。背中には、昨日狩ったシカの毛皮を担いでいる。
5枚もなると、ずっしりと重さがある。さて、今日も張り切って、森を抜けようか!
「モリモリ~~ゴ~~!! モリモリ~~ゴ~~!! 」
そんな歌を歌いながら、進んでいく。ハチも合いの手で、吠えてくれる。だが、森の気配がいつも違うことに、気付く。
またなんだか、嫌な予感がするので、足早に急ぐ。そうして、村に到着する。
そして、トレーダーの店へと向かう。村人は、昨日と同じようにまた僕が来たことに驚いた様子であった。
「アキラの旦那! また来たんですか! まさか、やっと村に住むことを決心したんですか!! 」
と昨日に引き続きの来店に、店主は大変驚いた様子で僕を見る。
「いや、違うんですよ。ちょっとシカの毛皮がたくさん獲れたもんだから、売りに来たんですよ。」
そう言うと、目の色が変わる。さすが、トレーダー! 話が早くて助かる。それでは、早速、取引といきましょうか!
「マシカの毛皮5つとどれくらいで、買い取ってもらえますか? 」
店主は、毛皮を手に取り品質をチェックする。しばらく考えた後、
「申し分ない、品質だ。5つで、800リラでどうだい? 」
キャベツ800個分・・・つまりは、9~10万程度か。ええやん!! 気に入ったわ! 即決で、それを承諾する!
これだけ、お金があるので何かお土産を買って帰ろうと思い、店主の近くの本に目が行く。すると、ハンターセンスが反応する。
店主が大事そう飾っている本が気になる。
「ああ、その本は収納の魔術書だよ。まぁ、誰も使えないから売れ残ってんだよ。ああ、そうだ。旦那は異邦人だったからもしかすると、使えるかもな。でも、家宝だから、非売品だよ。」
ほぉ~~~~~、便利そうなものじゃないか!! と心が動く。
「売るとしたら、いくらで売りますか? 」
と冗談半分に聞いてみると、
「そうだな、10000リラってとこかな。値段は、皆には内緒ね。」
ああ、10000リラね・・・。えっ!? たっか!! きゃ・・・キャベツ10000個分・・・つまり、100万!?
しかし、10000リラとなると、全財産が吹っ飛ぶことになる。
一応、念のため精霊さんに、使えそうかどうか聞いてみる。
「収納の魔術ですか。多分ではありますが、宿主なら使えるのではないでしょうか。文字は読めませんが、誰かに読んでもらえればそれも解決ですね。」
そう精霊さんは答える。ハンターセンス君が、ほしいほしいと訴える。えぇ・・・100万やで・・・。そんな、えぇ・・・。そして、考えに考えた末に僕は、
「あのその本、売ることってできますか? 」
と店主に問うのであった。
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