215.アキラ、挟まれる。

 僕はその言葉に、耳を疑う。




「今、なんと!?」




ごほう・・・じゃなかった、そんなマッサージ聞いたことがない! どういう意図があるのか、まゆきに問う。




「旦那様、決してこれは、下心があってのことではございません。ぎゅっと抑え込むことにより、背中の奥まで圧を浸透させることができるのです。」




自信満々に言われると、疑ってしまったことを恥じてしまう。




「まゆきがそういうんだったら、そうなのかな! よし、アルテシア! 僕はいつもでも、準備万端だよ! 」




そう言って、手を広げる。アルテシアは、まゆきに感謝の視線を送りながら、僕に抱きつく。そして、背中に腕を回しぎゅっと抱きしめる。




やわらかな感触なものが、胸に押し付けられる。こんなに女の子と密着したのは、いつ以来だろうか。嗚呼、幼児以来だ。




胸と背中の両方に快感を覚えて、僕の顔がほころぶ。一方のアルテシアも、顔がニヤけているようで、




「嗚呼、し、し、幸せですわ・・・。」




そう呟いたような気がした。




すると、イリスもその光景に我慢できなくなったのか、




「わ、私もする! 」




そう言って、背中に抱きつく。まさかの行動に、思わずびっくりする。




「こ、これなら背中全体のツボが押せるでしょ!! 」




照れながら、そんなことを言う。その発想はなかったわ! 背中に少しやわらかい感触を感じながら、美少女ふたりに挟まれた状態になる。




ぎゅーっとされて、ふたりの身体に密着する状態になる。もうすごい胸が当たっている。このままでは、理性君がオーバーヒートしてしまう。




 そんな理性君をよそに、ついにまゆきが本性を現す。




「わ、私達も抱きついてしまいましょう!! 」




ははは、もうマッサージとか関係ないやん!! そんなことを思うも、時すでに遅し。皆の目は、肉に喰らう獣の如く血走っていた。




ここで、中止を宣言してしまうと、彼女らの中で、不公平感が生まれてしまう。故に、ここは、彼女らが満足するまで、耐え忍ぶのだ。




心の中で、お経を唱えながら、理性を保とうとするが、皆から密着されて心が乱れてしまう。




色即是空! 色即是空! そう唱えるが、どうやら耐えきれそうにない。そう諦めかけた、その時! 




「宿主、おめでとうございます。スキル【平常心】が向上しました。」




と精霊さんの報告を聞く。すると、自然と心が落ち着いていく。なんだろう、僕の感情君が落ちついていく。




スキル【平常心】が働いたことにより、彼女らの誘惑にも屈しない鉄の心を獲得するのであった。

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