188.アキラ、探る。

 早速、試作品を作ってみる。原油を壺で掬い、拠点に持って帰る。そして、矢を浸す。




その間に、繊維で縄を編む。端と端を結び、二重螺旋のようにグルグルと回していき、最後に端を結べば、はい、完成。




紐をあやとり以外に、別の方法に応用する日が来るなんて、感慨深いものがあった。まぁ、言っても武器転用なので、夢も希望もないのだが。




そうして、原油が染み込んだ矢に、縄を括りつけて、いざ点火して発射!!


1秒後、火は勢いよく燃え始める。う~~ん、家を燃やす際に、使えそうかな。でも、扱いに注意しなくちゃいけないし、すぐに燃えないから、運用性ゼロだなという、結論に至る。




それでも、すでに、1本矢を浸していたので、しょうがなくもう一本完成させて、記念に、祠に奉納したのであった。




 そして、今、僕は洞窟の前に立っている。ハンターセンスと強烈な匂いが危険と僕に、知らせるが、洞窟をよぉく見ると、土器らしきものが、散在していた。




これは、太古の秘密が隠されているようで、探さずにはいられなかった。だって、異世界の古代文明というパワーワード! まるで、カレーにトンカツのように、大好物の二段重ねのようで、そそられるではないか! 




そう思い、布で顔を覆い、洞窟の内部へと入っていくほど、頭が少し、痛みだす。それでも、ハンターセンスが死を察知するほどでは、ないことを理由に、どんどん進んでいく。




行けば行くほど、骨やら、土器など、とてつもなく古い時代を感じさせる代物がでてくる。しかし、その骨は見たこともない骨格をしていた。




そのうちのいくつかを拾い、そうして奥へと進んでいくと、




『ピゥー! 』




と風が吹き抜けていく。どうやら、この洞窟どこかに、別の入り口に繋がっているようだ。しかし、ハンターセンスがこれ以上行くのは、危険だと訴えて来るので、引き返すことにする。




そうして、拾ったものを拠点に持って帰って、じっくりと調べる。




 そして、驚くことに、人骨らしき感じなのだが、所々、別の生き物を思わせる形状である。まさに、別の種族が、人間のように進化したと言った方がいいものであった。




こいつは、なんだ、河童かなにかかと、疑問に思う。まるで、きつねに摘まれたようで、あった。異世界であるにしても、ここまで、人類とかけ離れた生物がいた証拠があるなんてと思う。




小鬼らとは、違い、土器を作るほどの知能があって、集団で生活していた痕跡があったのだ。何故、この種をこの世界では、見かけなかったのか。




ふと、ある謎が湧き立つ。これほどまでに、発達した知的生物なら、どうして姿を消してしまったのだろうか。




それに、なぜ、今僕と同じような人類が、この世界で生活しているのだろうか。偶然にしては、あまりにも酷似しすぎている。異世界であるならば、僕とは別種の外見をしていても、不思議ではない。




この時、僕はこの謎を解明していけば、自分がこの世界に来た理由を探れるような気がしたのである。

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