186.アキラ、料理する。
今日の夕食は、買ってきた野菜で作る雑多煮です。まず、ジャガイモの皮を剥き、壺にポ~イ、キャベツの外側を剥き、食べれる葉を切りとり、壺にポ~イ、玉ねぎ、皮むき、そのまま、ポ~イ。
その他の野菜も同様に、壺にポ~イで、煮込んでいきます。
ええ、これだけです。後は、お好みで塩を追加すれば、いいと思います。さすがの、手抜き料理に、精霊さんも、
「や、宿主、ま、まさか、これだけですか・・・。」
と困惑の色を隠せていない様子である。
「ええ、僕の料理レパートリーなんて、野菜炒めか、煮込み料理しかないです。」
堂々たる自信に、精霊さんも、
「宿主が、それでいいなら・・・。」
と理解してくれたようだ。うん、僕もわかってる、あまりにも料理センスがないことくらい、わかってるよ。そうこうしている内に、ほどよく料理が煮詰まる。
壺を、取り出したら、一旦冷ます。ほどよい温度になったら、食べ始める。
スプーンで掬い、一口食べる。野菜の優しい甘みを微かすかに、感じる。少し、塩を追加する。これでようやく、完成する。おいしいと言えば、おいしいのだが、全体的に味は薄めである。
やっぱり、塩しかないので、味が単調になりすぎる。テラは、そこらへんうまいこと、調理していたんだと、ありがたみを実感する。
そして、集団生活は、お互いに不足している所を補い合うものなんだと、理解し、この生活を通して、皆のありがたみに気付く。皆、元気だろうかと思いながら、
明日は、獲物を探しに行こうと考え、いつもより早く就寝するのであった。
翌朝の朝食は、昨日の残りである。ウサギちゃんに、草を与える。それが、終わったら、早速、ハチを連れて、狩りに出発する。
ハチも今日は、狩りだとわかってか、先頭を行って獲物を探している。さすがは、狼、賢いと思いながら、その後を追いかける。
しばらくすると、ハチが急に止まり、身を屈める。その様子を見て、僕も身を屈めて、辺りを見渡す。すると、森の奥の方に、一匹のキツネらしき生き物が居た。ここから、かなり距離があり、矢で射るべきか迷っていた。
すると、キツネもどきも、何かを感じとったのか、動きが止まる。どうやら、警戒している様子であった。それなら、イチかバチか、
獲物のキツネもどきに矢尻で狙いを定めて、射る!矢は放物線を描いていく。幸いなことに、風の影響も受けずに、まっすぐと獲物に向かっていく。
そして、獲物の足に突き刺さる。すると、透かさずハチが飛び出して、まっすぐキツネもどきの元へと駆けていく。
キツネもどきは、足に矢を食らったため、うまく走れないが、それでも僕より速く逃げていく。ハチは、それを上回るスピードで駆けていき、キツネもどきに追いつく。
そいつの首元に喰らいついていた。追いついたころには、キツネもどきは息絶えていた。ハチはじっとこちらを見る。
「ああ、ちょっと待ってろよ。」
と僕は言うと、獲物の皮膚をすばやく剥ぐ。腹にナイフを入れて、ペロペロと剥いでいった。
そして、皮を剥いだ肉は、ハチが待っていましたと言わんばかりに、カブリつく。久しぶりの生肉に、喜んでいるようであった。
そして、まずは、一匹目の獲物を、狩ることに成功したのであった。ハチが、肉を食べている間に、辺りを散策することにした。
すると、何やらどこからか、嗅いだ事のある現世の匂いがするのであった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます