184.アキラ、買いこむ。
次の日、僕はシカの毛皮を持って、ノルディンの王都に出かけていた。ハチとウサギちゃんはお留守番させている。しばらく歩いていると、街らしきものが見えてくる。
「おお、あれだ。ノルディン王国の王都か、でかいな。」
とそんな感想が出てくる。久しぶりに見た人里と、いうこともありも、目に映るものが、少し新鮮に感じる。そうして、市場に赴き、毛皮商の店を探す。
活気のいい声が、市場のあちこちから、聞こえる。聞いているこちらも、元気が出そうだ。やっと、それらしき人物を見つけ、毛皮を売り込む。
「おお、これはかなり大きなシカじゃねぇか! 80リラでどうだい。」
と商人が提示してくる。しかし、異能のCコミュニケーションにより、彼が、僕の足元を見た値段であることを悟る。
「130リラ・・・。」
その言葉に、商人はたじろむ。少し考え込み、そして、
「いやぁーー、兄ちゃんには負けたよ。田舎者だと思っていたが、ここらの相場を知ってるようだな。110リラこれが、限界だ。」
その異能のCがもう少し値上げすべきだと、思わせる。
「120リラ。」
商人はそれで、手をうち、交渉が成立する。毛皮は、最初の提示額より、1.5倍の値で売れる。
さて、これで手元には、元から持っていた80リラと合わせて、200リラがあることになる。これで、大体のものは買えるだろう。
とりあえず、腹が減っていたので、食堂に立ち寄り、昼食を食べる。煮込み料理、ひとつ2リラ。それを味わいながら、食べていく。
「薄味・・・。」
と本音が漏れる。素材の味を感じるそんな味付け、ぶっちゃけるとすごく薄味。それでも、腹を満たされるので、食べ進めていく。そうして、完食し買い物に戻る。
市場には、根菜類や、キャベツ、玉ねぎなどが多く並んでいた。それら、野菜類を買いこんでいく。合計、50リラの出費となる。
その次に、種を売っている店を探し、そこで、30リラほど種を買いこむ。キャベツや玉ねぎ、ジャガイモなどの元いた世界の野菜と似たものを買っていく。そして、隣の店で、鎌を買う。
最後に、釣り具店で、初心者用の釣り竿10リラを買って、買い物を終了する。いっぱい買いこんで満足しながら、重い荷物を持って、帰っていると、路地で少女が物乞いをしていた。
目を合わせないように、通り過ぎようと考えたが、あまりにも、悲しげな少女を見て居られず、1リラ、少女に恵んであげる。少女の顔がぱぁーっと明るくなり、ペコペコと頭を下げる。
その様子に、僕は満足し、すぐにその場を、そそくさと走り去るのであった。どうか、この1リラで、少女の空腹が、紛れることを祈るのであった。
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