176.アキラ、撫でる。
「精霊さん、とってきたウサギの言語ラーニングよろしくね。」
と精霊さんに、ウサギの言葉を学習してもらう。その間、僕はウサギの檻に入り、ウサギと戯れる。
ウサギはひどく怯えた様子で、逃げ回るが、狭い檻の中で、逃げ場がないことを理解して観念した様子を見せる。
「ブッブッ! ブッブッ! 」
と音を出しながら、こちらを威嚇する。
僕はそっとウサギの頭を撫でてやる。すると、警戒心を露わにしながらも、その快楽に身を任せていく。一回、撫でるごとに、ウサギの表情は、気持ちよさそうにとろんとし始める。
「プゥプゥ、プゥプゥ」
ウサギがリラックスしてきたのか、そんな音を出し始めていた。それから、どれぐらいウサギを撫でまくっただろうか。
ついには、身体を横に向け、身を委ね始める。可愛いなこいつと思いながらも、情を移しすぎない様に、気をつける。
寝静まった頃を、確認し、そっと檻から出る。
「精霊さん、うさぎの言語はどれくらい学習できた?」
と聞いてみると、
「30%ほど、学習できました。ウサギには、声帯がないため、他の動物と違い、あまり複雑なコミュニケーションはやっていないようなので、比較的簡単であります。」
とバッサリと精霊さんが答える。あと何回か、繰り返せば、ウサギとも話させそうだ。そうすれば、ウサギの特性を理解し、もっと効率的な罠を、仕掛けることができる。
しかし、今回はハチに助けれらた。ハチが、すぐに気付かなければ、こうして、ウサギを生け捕りにして、飼うことはできなかっただろう。
そう思い、ハチに干し肉を多めに食べさせる。そして、頭を撫でてやると、目を細めながら、リラックスし始める。ハチと話せるようにいつかなるのだろうかと、思いながら、撫でている。
すると、精霊さんが、
「宿主、異能のCコミュニケーションが向上を確信し、スキル【撫で上手】を獲得しました。」
と報告してくれる。ハチを撫でながら、そのことを聞く。気がつくと、ハチは、あまりの気持ちよさに、寝ながら食事をし始めているではないか!
このスキルすごいなぁ・・・。と思いながら、使い所は限られそうなものだと理解しながら、睡魔に堕ちていくハチを、見ていたのであった。
二匹の動物が、寝静まった頃、僕は、ひとり、シカの干し肉を片手に摘みながら、今後の計画を練る。
「精霊さん、前に行っていた幻覚魔術って、どうやったら使えるの?」
と聞いてみる。
「まずは、魔術書を読んで、その術の概要や理論を把握しなければなりません。」
と言ってくるのであった。
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