第十二章 報復

151.アキラ、投じる。

 転がっている死体を探ってみると、結社のアクセサリーが出てくる。どうやら、彼らはシラ教徒ではなく、結社のメンバーだったらしい。




急いで、その証拠品を持ってウグリナスの邸宅に急ぐ。着くとそこには、武装した教徒が、邸宅を囲んで守っていた。どうやら、リーシェは無事ついたようだ。




急いでその邸宅に入ろうとするが、護衛の者が入れてくれない。そうこうしていると、ユダイさんがやってきて、




「この人は、味方だ。通しなさい。」




と言ってくれる。やっぱり、ユダイさんはいい人だ。そんなことを考えつつ、邸宅に入ると、リーシェとウグリナス卿が待っていた。




「ライト様、良くぞ、ご無事で。」




そう言って、リーシェが駆け寄ってくる。




「ああ、リーシェこそ、無事なようだね。」




いや、よかった。リーシェが無事にウグリナス卿の邸宅に見つからないでよかった。




「いや、ライト殿が無事で何よりだ。リーシェから、貴殿が襲われていると聞いて、焦っていたよ。」




ウグリナス卿も無事のようで、今回の襲ってきた者がアクリバートンの手先ではないかと報告すると、ウグリナス卿は、




「ついに、奴もここまで堕ちたか・・・。」




そして、覚悟を決めたように、彼の目には、決意の炎が灯っていた。




「ライト殿、ひとつ仕事を頼まれてくれませんか。ある男を殺してもらいたいのですが。」




そう言って、地図を渡してくれる。そして、男の特徴を述べ始める。




「ワーグラという男を、殺してほしいのです。そいつは、明日このシュラ城に到着する予定です。どうか、この街で郊外葬ってほしいのです。」




口調は冷静さを装っているが、その眼差しは怒りに燃えていた。その依頼に私は無言で頷き、答えて部屋から出て行くのであった。




 深夜、ワーグラが来るであろう印をつけられた場所に到着する。ここでアクリバートン陣営に、一撃を加えればそう簡単に手出しして来ないと思う。




これはもう、次期教皇の座を賭けた仁義なき殺し合いだ。その渦中に私は自ら、望んで飛び込んだのである。




しばらくすると、一台の厳重に守られた馬車がやってくる。こんな夜更けに不自然な光景である。多分、あの中にいる。




イーグルビューで確認してみると、足跡はひとつ。その足跡の主に弓矢で狙う。いつもの通り電流を込めて、射る。




矢は狙い通り、馬車に命中する。そこから、男の激痛の叫び声が聞こえる。




「うわぁあああああああああ」




男が中から、飛び出てくる。その瞬間を待っていたかのように、もう一度、矢を取り、弦を引き、射る。




矢はまっすぐその男の頭を射るのであった。




護衛の兵士たちが、




「ワーグラ様!!ワーグラ様!。」




とうろたえている。僕は混乱している隙にその場を離れるのであった。 


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