150.アキラ、ひと狩り行う。
「リーシェ。君は安全な場所に逃げるんだ。」
リーシェに告げると、彼女はコクリと頷く。そして、大司教区に走っていくのを確信する。
「リーシェ様は、良き判断をされます。」
と精霊さんが答える。
「彼女は、ウグリナス卿のところに行ったね。これなら、大丈夫だ。」
そう思い、僕は自分のやりべきことに取りかかる。
男たちは、森を捜索している。
「おい、お前ら。奴の遺体を見つけるんだぞ。」
そう言って、彼は部下に命令し辺りの捜索を続ける。
その様子を見ながら、ゆっくりと気付かれないように、少し集団から離れている男の頭上に来る。
僕は、ナイフを両手に持ち、襲いかかる。グサッと喉元に、ナイフを二本突き刺す。
あと4人、この調子でやっていこう。しかし、残りの4人は、異変に気付きこちらに近づいてくる。すぐに、木の上に逃げる。
だが、男たちは状況をすぐに理解し、
「汝、我に力を与え給へ。」
あの詠唱をし始める。どうやら、魔術を使ってくるようだ。僕はその詠唱の中に、ひとりの頭を射る。
これで3人。詠唱が完了し、3人の男たちの周りに火や草、水が出現し始める。これはまずい。
そう思った時は、遅かった。3人は魔術を一斉に撃ってきて、僕はそれで吹っ飛んだ。
『ドーン』
僕は、大木にぶつかる。背中に激痛が走り、朦朧とする意識。
「・・・主、し・・り・ください。宿主、しっかりしてください。」
精霊さんの声でなんとか意識が戻ってくる。幸運にも土埃で辺りの視界は不良になったため、追撃を免れる。
すぐに、その場から立ち、急いで木陰に隠れる。後3人、どうやって殺そう。そんなことを考えているうちに、男がひとりこちらに近づいてくる。
バレないように慎重に離れながら、矢を構える。そうしながら、ギリギリまで引き付ける。ここら限界と悟り、矢を射る。
その矢は目玉を直撃し、脳を貫通する。射たれた男は、前に倒れる。遺体のそばに僕は近づく。男の人が慎重に遺体のそばへと駆けよってくる。
「おい、嘘だろ、ジャウ・・・。弓でジャウがやられた。」
男は悲しそうに、そう呟き、もう一人の男に伝える。そうして、周りの木の上を見回す。
その瞬間、木陰から僕は飛び出て、男の背中に2本のナイフを突き立てる。男は叫ぶ。もう一人の男が、火を放ってくる。
「仲間に対して、容赦なさすぎ。」
僕は、そう言いながら、突き立てた男の盾にして、その魔術を防ぐ。男は焼かれながら、息絶えるのがナイフを通して伝わる。
もう一人の男は、警戒しながらこちらに近づいてくる。刹那、1本のナイフに電流を込めて、近づいてくる男に投げる。
ナイフは男の脇腹に突き刺さる。一瞬男が怯み、その隙に僕は、もう一本のナイフを構えて突進する。胸辺りにグサリと刺さる。
止めを刺す様に、ナイフを横に切り裂くのであった。
「宿主、付近に生物反応なし。」
精霊さんのその言葉を聞いて、やっと終わったと確信するのであった。
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