136.アキラ、価値観に触れる。
アリクバートン枢機卿にどうすれば近づけるかということを僕は考えていた。それにより、まずはシラ教の総本山に行かなければならない。
その意志とこれから相手取る彼らのことを説明すると皆に理解を示めしてくれた。
「シラ教の枢機卿が教祖なんて何かの間違えと思いたいのですが、状況的に考えて本当のようですね。」
アルテシアが重い表情で呟く。シラ教についてまったくの無知である僕はその宗教がどのようなものか皆に聞く。
「シラ教は今から200年前から信仰されてきた教えです。人は死ぬのと六つの道が用意されていて、その道を通ってこの世界から出ることができると信じられています。そして道は死ぬ前の行動によって変化するという教えです。
戦いを好む者は修羅道、善を全うした者は慈愛道、善行をつんだ者は人間道、悪行を行った者は、悪疫道、不要な殺生を行う者は苦道、人の道を外れた者は、外道。」
とアルテシアが説明してくれる。割と最近の宗教で、なんだか六道に似ているなという感想が出る。まぁ、そのアリクバとか言う奴は、悪疫道に落ちるんだろうなと思うのであった。
「それで、そのシラ教の総本山ってどこ?」
その答えにイリスが立ちあがり、海の方向を指さす。つまり、総本山は向こうにあるということだ。
「この海の向こうのマルベ半島の先っちょがシラ教の総本山です。」
やけに詳しいふたりに、ふと疑問が湧く。
「もしかして、二人ともシラ教の信者?」
その質問に二人とも即答で、
「ええ、もちろん。」
と答える。
「だから、あなた様が外からの異邦人だと知った時、皆があなたを特別視するのですの。」
アルテシアが食い気味に話す。どうやら、僕の立場は相当ややこしいらしい。
「じゃあ、僕って神様みたいなもの?」
その問いに、イリスがため息をつきながら答える。
「なんですの神様って。それにあなたが思っているような存在ではないですわよ。外の世界は、死者の世界。まぁ、言ってみれば御先祖様みたいなものですね。」
ああ、俺って死者と思われてたんだなとこの時、初めて思うのであった。
ちなみに、テラは宗教にあまり触れてこなかったので、そういうのには疎く。
まゆきは、村独自の風習があるらしく精霊が守り神のようだ。さらに、あまり見かけない雷の精霊を特別視しているようなのだ。
ミユの方は、宗教なにそれ食べれるの?という状態で表面上はシラ教を名乗っているとこっそり聞いた。
皆、多種多様な価値観をお持ちのようで、宗教戦争とか起きないことを願うのであった。
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