133.アキラ、昏睡する。
意識が遠のく、息が苦しくなるが身体が動かない。このまま、死ぬのかと思う。
見知らぬ土地でこんな場所で死ぬのかとそう思いながら、走馬燈が見え始める。
ああ、せめて両親や友達にここで生きているを伝えたかったなとそんなことを考えながら、意識が薄れていくその時、
「宿主、私をお忘れではないですか。」
と声が聞こえる。その瞬間、身体に電流が走り、意識がはっきりし始める。そして、身体が否応がなく空気を求めて、浮上する。
「ぶああああああ!!!ケホッケホ、オエエエ。」
と飲みこんでしまった水を吐き出す。
「精霊さん、どれくらい飛んでた?」
そう言って精霊さんに問いかけると、
「一分ほど、飛んでおりました。危ない所でしたね。」
そう答える。
「ありがとう精霊さん。それで、火の玉撃ってきた奴らはどこにいった?」
そう言いながら、壁を伝いまだ残っている足場に飛ぶ。
「現在、幹部の4名を確保しました。しかし、1名が逃走中です。あの演説をした者です。」
「じゃあ、すぐに追いかけないと!!」
そう言って、残っている足場を伝っていく。カルラさんに、
「ちょっと、逃げてる奴追ってきます。」
と伝えると、
「ああ、ここはまかせろ。」
と言い、剣を振りながら、血を飲んだ幹部らしきものを追い詰めていた。
ああ、やっぱりフラグを立てて置くんじゃなかったと思いながら、確保組と合流する。すると、ずっと、メルカポレを張りこんでいてくれていた偵察兵さんに会う。
「アキラの旦那、今しがた、炎を操る異様な仮面の奴があっちに行きましたぜ。何人かは追わせたんですが、心配なんで行ってくだせえ。それと旦那、これ忘れてますぜ!!」
とナイスタイミングで、弓矢と情報を得る。
「ありがとうございます。」
そう言って、壁を伝い屋根によじ登る。遠くの方に燃えさかる火柱を確認する。
どうやら、あれのようだ。屋根から屋根へと飛んでいく。どうしてか、こういう時、アドレナリンがドバドバと出てくる。
いつもなら、こんなにも出ないはずなのにと思いながら、どこかで焦る気持ちがあることを実感する。心を落ちつける。
「精霊さん、ここからスキル【絶中】届くよね。」
その言葉に、精霊さんは即答で
「はい。」
と答えてくれる。身体に力が漲ってくる、屋根を伝いながら、矢を取り、弓を構える。そして、一瞬止まる。心は澄んだ青空のように落ち着いていた。そして、弦を離すのであった。
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