132.アキラ、落ちる。

 門番らしき仮面の男に、「我が血は抗う為のもの成り。」という合言葉を告げると、通してくれる。中は暗く、たいまつの光で照らされて、なんとか見えるという状況であった。




足場は木の板で出来ており、下は水が張っている。紛れた集団の後を追うように、歩いて行く。




すると、集団は止まる。よく周りを見ると、無個性な仮面の者たちは円を描くかのように配列していた。わたしもその配置に着く。




そして、円の中心には、個性的な仮面をした者たちも同じように円を描くように鎮座していた。まさに、これから儀式を行うかのような配置である。




そして、大方人集まりだした頃、ハンターセンスが敏感に反応する。その反応の先には一際異様な雰囲気を醸し出す仮面の男がいた。その男に、皆一礼をする。そして、その男は円の中心に移動し、




「諸君、よくぞ集まってくれた。今宵は血の儀式と称し各地から集めた異邦人と思われし者たちの血を試すつもりだ。もし、血が本物であれば、その者を我々が管理し、異邦人の血の謎を解き明かすために費やそうではないか!!我々を導いてくれている導師も、今宵の儀式の成功を願っておられる。」




大層な演説をしてくれる。どうやら、こいつらは異邦人を拉致して、何かの研究のモルモットにするらしい。そして、何のためにそのようなことをしているのか、突きとめて、導師とやらの居場所を吐かせる必要がある。




 そして、その演説が終わると、仮面の者たちが何かを持ってくる。よく見ると、血の入った小瓶である。円の中心に居るものたちが、その小瓶を飲み干す。すると、ハンターセンスが異様な反応をする。




そして、精霊さんが、




「どうやら、あの者達の精霊の反応が大きくなりました。」




と危機的状況なのを察知する。




「ああ、僕もそれを感じたよ。早い所、こいつらの儀式とやらをぶっ壊さなきゃ、外に待機している人たちが危ないね!!」




そう言って、持っていた赤玉を円の中心に投げ込んで、コインを撃ち込んで、柱に隠れる。突然投げ込まれたものに円の外側の者たちは反応できなかったが、中心にいる奴らは、自分たちを守ろうと、障壁を張る。




「バァアアアアン!!」




と赤玉は大きな爆音と爆風を出して紅蓮の炎を出す。足場が崩れ、仮面の者たちが水に落ちる。その瞬間、気絶させるほどの電気を水場に流し込む。




落ちた者たちの悲鳴が聞こえる。




そして、事前の打ち合わせ通り、先行組のカルラさんたちが突入してくる。




「カルラさん、水に落ちていない奴らは俺たちと同じ力を使う!!」




と大声で言った瞬間、僕が隠れている柱目掛けて、火球が飛んでくる。一瞬、反応に遅れて、直撃を食らう。




「ウゥ・・・」




そして、そのまま水の中に落ちていくのであった。

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