第十一章 溶血
131.アキラ、持ち運ぶ。
現在、人気のない湖のほとりで火薬を大量に作り、特製の火薬玉を作る計画を実施している。これを当日はぶっ放す予定だ。ミユと一緒に試作品を作り、一発点火する。
試作火薬玉を湖の上に放り投げて、電流を流したコインでそれを撃つ抜く。コインを飛ばした瞬間に、物陰に隠れる。
「ボォーーン!!」
高い水柱が上がる。周りに配置していた、船に見立てた木は粉々になっていた。
「主、これはすごい威力です。」
と離れた場所から感想を述べてくれるが、
これでは、情報を聞き出す前に死んでしまう。
試行錯誤を繰り返しながら、進めてやっと、適度な威力の火薬が出来上がる。これを後は、花火を作る要領で、火薬玉を作っていく。丸い木の容器をふたつ準備して、そこに火薬を敷き詰める。完成した半分づつを両手に持って一つに合わせる。そして、左右を一気に一つに合わせる。僕が抑えている間に、ミユが布でそれを包み込む。ある程度、固定できたら木の皮で覆う。
カモフレージュのため、動物の血で木の皮を赤く染めて、天日に乾燥させたら完成だ。
作品名「赤玉。」
これは、どう見ても、貢物にしか見えない。当日はこの危険物を持ち運ぶ予定だ。当日をシュミレーションしながら、赤玉を乾燥させるのであった。
夜、いよいよ明日に迫った集会に向けて大まかな作戦を練る。先行組と確保組に皆別れて役割を確認する。
特例で、僕は潜入係の任を預かった。なんたって、結社の密会がどういう物か知らなければならないし、この中で一番潜入向きだということで選ばれた。
作戦隊長のカルラさんが作戦の大まかな概要を話し出す。
「まず、アキラ殿が密会に潜入してどんなことが行われているか調査するわ。その後、爆発を起こして、内部を混乱させる。その音と同時に、先行組が潜入し、結社共も捉える。そして、逃げられる恐れがあるので、その者たちを確保組が取り抑えるという形になる。各自、自分の役割をちゃんと理解してくれ。」
これにて、作戦会議はお開きとなり、各々準備に取り掛かるのであった。
重要な役割のため、失敗はできない。それを自覚しながらも、明日に備えて眠るのであった。
作戦当日、スラム街には異様な殺気が立ちこめていた。地元の住民でさ、その異様さに怖気づき、例の付近に近づこうとはしなかった。
時刻が進むにつれ、仮面の集団が続々とメルカポレ地下宮殿に入っていく。
一般階級の仮面をつけ、片手には完成した赤玉を持ち、ローブを身に纏う。そして、何食わぬ顔で仮面の集団に接近し、紛れ込むことに成功する。
そして、いよいよ内部に潜入するのであった。
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