130.アキラ、当てが外れる。

 アキラは、夜の城下町を下に見下ろしながら、屋根を飛び跳ねていく。




先ほどの男が、城外へ逃げていく様を見て、もう結社に関わらないことを確信したので、少し残念に思いながらも城へと戻る。




先ほどの男が裏切ったのなら、すぐにメルカポレ地下宮殿に行った後、この事を報告される。




それにより、使いの番が放たれるので、そいつらの後を追っていけば幹部に辿りつくと考えていたのだが、まさか律儀にあの男が約束を守るとは予想外の展開に当初の作戦通りに事を運ぶことにした。




「この作戦、案外うまくいくと思ったんだけどなぁ~。」




そう言いながらも、内部の構造や入るための合言葉の情報、を掴んだので良しとすることにした。




この街の構造もおおよそ、掴みかけている。これなら、例え街の中に逃げられたとしても、大丈夫なような気がする。精霊さんが、




「それフラグですよ。」




と言ってくる。まぁ、縁起でもないこと言うもんじゃないよね。と思いながら、見張ってくれている偵察兵さんの元へと駆けよる。




「まぁ、アキラの旦那。また来たんですか。」




と少しめんどくさがりながらも対応してくれる。先ほどの情報を教えると、偵察兵さんも王都の兵士に裏切り者が居たことに驚きながらも、




「今のところ、目立った動きはないですぜ。あいつ等、一人仲間が消えた所で気にも留めてないようです。」




けっこう結社の割にザルなところあるだなと思いつつも、これは好都合と考える。偵察兵さんがそれに補足して、




「まぁ、仮面で顔も覆っている状態で、声だけで人を判断するなんて無茶な話なんですよ。」




そうボヤキながら、呟く。先ほどの男から奪った仮面と、メルトラ、イベラから奪った仮面を見比べると、違う点が何箇所か見られる。




男から奪った仮面は、地味でなんとも一般兵といった具合の装飾だが、メルトラやイベラの仮面は、個性的でいかにも上下関係が浮き彫りになっていた。




つまりは、仮面が個性的な奴は幹部の可能性があるという仮説に行きつく。




この結社の幹部の見分け方がわかったところで、偵察兵さんにそのことを伝え、そのような者が来たら注意して見ていてくれと頼むのであった。




 さて、城に戻った、僕はどうやって集会に集まってくる奴らを捕まえるか案を絞っていた。そういえば、まだ火薬って残ってたっけと、残り2日で火薬をできるだけ作るのであった。

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