125.アキラ、仮説を示す。
もしも、過去に存在していた異邦人が自分が元いた世界の古代人と同じような価値観を持っていたとすれば、この謎への仮説の信憑性が少しだけ増すことになる。
そして、異邦人ゆえにその仮説を考えると見越したメルトラに少しだけ感謝の意を送る。そして、その仮説を僕は一同に発表するのであった。
「竜の月の終わり。竜の迷路で執り行う。とメルトラは言い残した。暦的に考えて竜の月の終わりは、今月の末日と考えるのが、妥当である。」
この意見には、皆一応に賛同してくれる。そして、ここからが問題なのである。
「そして、竜の迷路で執り行う。この竜の迷路という答えなのだが、僕の中では、水道網じゃないかと考えている。」
その言葉に一同はあまり理解していないようだったが、イリスだけは大きく反応する。
「なぜこの仮説を提示したかというのだけど、僕の元いた世界では、竜は想像上の生き物で、強さや権力の象徴であるんだ。でも、水の神という側面も持っていたんだ。迷路、秘密の集会を他人に目につく場所でやるわけにはいかないよね。よって、隠された場所でやるということになる。そして、水と人目につかない迷路という言葉が合致しそうなものと言えば、水道網ってわけになるんだ。」
そして、イリスがその仮説に付け加えるように、
「その水道網ですが、もしかすると旧市街の地下にあるかもしれませんわ。」
その言葉を聞いて、より一層この仮説の信憑性が増すのであった。
次の日、旧市街へと出向く。そこはスラム街のため、テラやミユたちは城で留守をしてもらう。イリスやカルラさんたちとスラム街を歩いて行く。
これなら、怪しい集団がたむろしていても驚きはしない様子である。秘密の集会をするにはうってつけの場所だ。
そして、古い建造物に案内される。それは石造りのこじんまりとした入り口を見つける。その入口には、仮面をつけた数人の男たちが、警戒していた。
「もしかすると、アキラが言っていた仮説はあそこのようですね。」
とイリスが少し興奮気味に言うのであった。ここからでは、確証が得られないので、僕はハンターセンスを下の方に感覚を意識しながら、探ってみる。
すると、地下に空洞があることがわかり、そこには、数人の男たちが歩いているのがわかった。この瞬間、ここが竜の迷路だという確証を得る。
この確証さえあれば、蜘蛛の巣を突く必要もないので、城へと帰還すのであった。
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