124.アキラ、解く。

 「竜の月の終わり。竜の迷路で執り行う。」




あとは自分で解けと言った顔をして、左手で剣を持ち、喉元に突き刺す。




一瞬の出来事に誰も反応できなかった。メルトラは武人らしく潔い最後を決めた。拷問されて吐くぐらいなら死を選んだのだ。




そんな死に様に、敵ながらあっぱれと思い、手を合わすのであった。




その後、死体を崖から突き落とし、メルトラの死を事故と見せかける。しかし、結社から見れば殺されたと思うことは必然であろう。だが、そのままにしておくよりかは遙かにましだ。




本人も負けて自決したと後世のものに思われたくないだろうとの判断からであった。そして、血の匂いを嗅ぎつけたのか、野犬が死体をつつき始める。数時間もすれば痕跡も消えて、なくなるだろうと思うのであった。メルトラが死ぬ間際に言った、竜の迷路とはどういう意味かを考え始めるのであった。考えてみるが、まったくわからない。すると、イリスと目があう。彼女もこのなぞなぞを考えているようだ。




「イリス、ここらへんに迷路みたいなものってあるかい?」




そう聞くと、イリスは少し考えて、




「わかりません。迷路みたいな場所は私の知っている限りではありませんわ。」




とはっきりという。イリスを頼りにしていた僕は、頼みの綱が切れてしまったことにショックを受ける。




そして、僕たちは城へと帰っていくのであった。




 城に帰還した後、テラたちの今回の経緯を話してから、謎のことについて意見をもらうことにした。ああでもないこうでもないと議論が白熱するも、




「竜の月の終わり。は今月だとして、竜の迷路ってなんだよ・・・」




そんな言葉がで始めた頃。竜について質問をしてみる。




「竜ってあの絵画に描かれていた奴でいいんだよなぁ?」




僕はそう質問してみると、イリスは思いもよらぬことを言いだす。




「あれはドラゴンよ。この世界で見られたっていう伝説の生き物。一方、竜は異邦人の伝承による想像上の生き物。まったく別物よ。」




 その言葉に、ハっとする。自分は今までドラゴンと竜を一緒くたにして考えており、火を吹くドラゴンの迷路と勝手に勘違いをしていた。つまり、異邦人の伝承の竜の迷路ということになる。その線で、しばらく自分の記憶を漁ってみることにした。




「龍・・・伝承・・・龍神・・・靇・・・もしかするとだけど、わかったかもしれない。竜の迷路の意味。」




その言葉に一同は、驚くのであった。

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