118.アキラ、釣り上げる。

 どうも、アキラです。現在、僕は釣りをしています。




船内ですることもないので、暇つぶしに魚を釣っている。成果は、5匹釣れたというところだ。




釣りをしていると、少しだけだがハンターセンスも上がるらしいので、経験値稼ぎを兼ねているのだ。




「宿主、ハンターセンスが微量ながら向上しております。」




と精霊さんが報告してくれている。




船上で、弓の練習するわけにもいかないし、なんか大物釣れないかなと思ったその時、竿がものすごくしなる。そして、ものすごい力で引っ張られる。




「おおおぉ!!な、なんだ!!!」




と慌てて、踏ん張る。ものすごい力で今にも海に落ちそうな位だ。




「宿主踏ん張ってください」




と精霊さんにそう言われ、なんとか踏ん張ってみるも、どんどんと竿は海に引き込まれそうになる。




「宿主、もう諦めてください。」




精霊さんにそう言われるものの、こんな大物簡単には、諦めがつかないと考えたが、仕方なく諦め、電流を流す。




いや、最初からそれをしろと思うかも知れないが、普通に釣らなければ経験値が入らないのである。しかし、一向に獲物は浮かび上がって来ない。




 すると、海の底から大きな目がふたつ見える。その目は勢いよく海面上に飛び上がる。




船上にいた者全員が、それを見る。デカい蛇のような怪物だった。そして、その怪物はまた海に潜る。




「ありゃ、バクババだ!!」




と船員の人が叫ぶ。次の瞬間、また怪物が海面から飛び上がり、船上に上陸する。




もう皆大混乱する。自分も混乱しかけるがスキル【平常心】が働き、なんとか落ち着きを一瞬で取り戻す。




怪物はこちらを見つめる。ハンターセンスが反応し、危険を告げる。だが、逃げ場はないことを悟る。弓矢を構える。




怪物はこちらに襲いかかってくる。食われると思った瞬間に矢を放つ。流しこめるだけ電気を込めた一閃は怪物の目に直撃する。




それに怪物は怯む。次の矢を構える。今度はありったけの力を矢に込める。怪物もそれに気付き、再度襲いかかってくるがもう遅い、放たれた一閃は怪物の口腔から胴体までを貫く。




辺りには、怪物の血肉が飛び散るのであった。皆が、茫然とその光景を見ている隙に、船内へと逃げ込む。




 しばらくの後、戻ってみると、船上では船員が怪物の飛び散った血肉を片づけていた。誰もこの原因が僕にあることには、気付いていない。




なんとか、済んだと思いながら、何事もなかったかのように、また釣りを開始する。




しかし、2mほどあるであろう、怪物の死体の顔はまだ生きているかのような生々しさがあり、船上は生臭い匂いが立ちこめるのであった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る