119.アキラ、嫌悪する。

 船が、王都アルトリアの港町に着く。いよいよ、王都がちかくなってきた。




馬を急がせ、街道をしばらく走っていると王都の城下町が見えてくる。




僕の身体に緊張が走る。私たちはこれから、大きな陰謀の巣に飛び込ん


でいくのだと実感させられる。




正体がバレないように僕たちはフードを深く被る。この国の中心ということもあり、人の往来が多くなってくる。ミユがその人ごみに驚いている。




「こんなに人が、いっぱいいるなんて初めてです。まるで祭りみたいです。さすが、王都!!私の知らないことがいっぱいありそうです。」




そう言って、首を右往左往させている。




前で操縦しているイリスが




「あんまり、興奮して落ちないでね。」




と注意するが、そういう彼女も少し興奮気味だ。




いろいろあったが、ここは彼女の故郷であるからなのかと僕は考える。




 そして、城の前に到着する。待っていたかのように、城の前にはカルラさんを始めとするイリスの従者が出迎える。




「イリス様、お元気なようで何よりです。」




カルラさんがイリスに深く頭を下げる。




「カルラも元気そうでなりよりだわ。さぁ、荷物を運んでくださる。これから、城下散策にアキラと出かけることになっているの。」




と僕の意向を無視して、急な予定を入れてくる。まぁ、街の様子を調べたかったら、何も言わなかった。




皆、従者たちに荷物を渡し、部屋へと案内される。イリス以外は長旅で疲れたのか、部屋で各々休むとのことであった。




 イリスと僕は、カルラさんたち従者を数人を引き連れて、街を散策する。正体がバレると大騒ぎになるので、姿を隠して移動する。




まずは、結社の一員である、メルトラの屋敷へと向かう。




その屋敷に近づいていくうちに重々しい雰囲気を感じ始める。そして、屋敷が見えてくる。




まさに武家という印象を受ける。ハンターセンス君も嫌に反応して危険を告げている。




「あれが、メルトラ家の屋敷よ。」




そう教えてくれる。




「ああ、なんとなくだが、イリスが奴のことを嫌っている理由がわかったよ。」




と僕は告げる。




なんとも、嫌な印象を受ける。




「この家からは、私も嫌悪感を感じます。」




精霊さんもそう答える。




「メルトラ候は明後日には王都に到着されるようです。」




カルラさんが告げる。




僕は会ってもいない男から、ここまで嫌悪感を感じたのは初めてであった。




会う前から彼とは変な因縁があることを感じるのであった。

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