117.アキラ、馬上で寝る。

 次の日の朝、朝食を軽く取り急ぎ出立する。




今は、ローテションでアルテシアが操縦している馬に乗りながら進んでいる。若干眠さがまぶたを沈めようとする。




いかんいかんと思いながら、必死にそれ抗う。それに気付いたアルテシアが




「アキラ様、それほど眠ければ私にもたれ掛かって眠っても大丈夫ですよ。」




そう言ってくれる。




最初は、大丈夫だよと断ろうと考えたが、彼女の好意を無碍には扱えず、甘えさせてもらうことにした。




彼女の腰に手を回して、背中に身体を預ける。やわらかな感触やいい匂いが伝わってくる。




少し、彼女の耳が赤くなったことに気付くが、眠たさによりそんなことはどうでもよくなっていた。




 ふと目を覚ますと、絶妙なバランスで眠っていた。イリスの操縦する馬の後ろに乗っていた。起きたことに彼女が気付く。




「アキラ、起きたのね。すごい体勢で眠ってたわよ。」




そう言いながら、馬を走らせている。




「宿主、お目覚めになりましたか。」




そういって精霊さんが、あいさつをしてくれる。なぜこのような体勢でも、眠れていたのかと考える。




「私が微弱な電流を流しておりました。」




精霊さんが素直に教えてくれる。どうやら、精霊さんが身体に微弱な電流を流して、僕の姿勢制御を行い、落ちないようにバランスをとっていてくれたらしい。




つまり、とっても優秀な精霊さんが代わりに身体を動かしてくれていたようだ。




「ありがとう」




とお礼を言うと、




「お役に立てて光栄です。」




そう言って、精霊さんは答えるのであった。そして、イリスと操縦を代わりながら、あともう少しで着くイーストフローを目指すのであった。夕方頃、イーストフローに辿りつく。




船は明日の朝出発なので、今日はここで一泊するため、宿屋に向かう。前回利用した宿をまた使うことにした。




まさか、一か月もしないうちにまたこの町に来るとは思わなかった。そして、食事も前回と同様、宿の食堂で食べる。普段はあまり食べない魚介類の料理に舌鼓するのであった。




 翌朝、船に乗り込み一行は王都アルトリスを目指すのであった。




船内では、暇時間が流れる。女性陣はおしゃべりに夢中になっている。話の内容を聞くと王都に行ってこの騒動が終わったら、きれいな景色が見れる場所があるからそこ行ってみようなど、元いた世界の女子とあまり大差のない会話である。




どこ行っても人の本質はあんまり変わらないなと実感する。時折、横になっている僕を皆が見つめてクスクスと笑いながら話している。




元の世界でもこんなことがあったなーと思いながら、少し元いた世界の両親や友のことは今、何をしているのだろうかと考えるのであった。

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