116.アキラ、追い払う。

 次の日、朝から朝食を食べたら急ぎ街道を馬で駆け、港町イーストフローを目指す。




乗馬経験のあるイリス、アルテシア、ミユと僕の4人でローテションを組みながら、3匹の馬を操縦していく。




「ドドドドド」




今は背中にイリスを乗せて街道を駆けていく。彼女は僕の腰に手を巻き身体をぎゅっと押し付けて固定してくる。




その鼓動が背中から伝わる。ふとイリスが話しかけてくる。




「結社ってそんなに危ない奴らなの?アキラはそんな奴らと戦って生きていられるの?」




少し不安そうに質問してくる。




「大丈夫だよ、なんたって僕には鷲の精霊さんがついてくれてるから、すごい優秀な精霊さんなんだよ。」




そう言って、彼女の不安を少しでも取り除こうと見栄を張る。




こちらも最悪死ぬかもしれないという恐怖はあるもの、今は血を求めているが、徐々にエスカレートしていき肉体を求めて拉致に繋がる可能性が考えられたため、早い段階で芽を潰しておく必要があった。




 まず、異邦人として信憑性の高い噂が立っている僕が一番最初に狙われるのは、必然であった。




その反抗作戦として、血の採取目的の作戦を立案したメルトラから情報を聞き出し、組織の全体像を掴むためにサバトに参加する必要がある。




また、サバトがどこで開かれるかわからないため、早めに王都アルトリアに到着し、情報収集を行う必要がある。




 相手の戦力がわかならい以上、隠密で各個撃破していくことになりそうなのは、理解できた。




実行部隊は一番戦闘経験のある僕だけで行うつもりでいる。イリスはそれを理解したうえで、心配してくれたのだと思うのであった。




王都では、誰が味方か誰が敵かわからない。だから、こそ信用できる者にしかこの計画を打ち明けるしかない。




今、信用できる人材は、アルトリア王国の女王、従者のカルラさんぐらいだろう。




考え出したら、切りがなくなるそう思いながら、馬を走らせていくのであった。




 しばらくの後、夜になって夜空に星々が煌く頃。馬の疲労が見え始めたことにより、街道の隅で野宿することとなった。




皆、一日中馬を操縦していたこともあって疲労が見えていた。リフェルベで買った干し肉やパンなどを食べた後、就寝するのであった。




なお、僕は警戒のため、半寝であった。それでも、POWERの力により、ある程度は体力が回復していくのであった。




 真夜中、複数の気配が近づいてくることを感知する。弓矢を手に取り、あたりを警戒する。イーグルビューで足跡を確認すると、イヌ科の足跡らしきものが、複数個見えた。




どうやら、野犬がこちらの匂いを察知して近づいてくる。やってくる方向に向けて矢を、放つ。スキル【命中】により、野犬の悲鳴が聞こえる。




すると、




「ワンワンワン!!」




怒り狂った声が近づいてくる。数は5匹。まずは、突出してくる個体に向かって、矢に電流を流しこみ放つ。




狙い通り首元に命中し、倒れる。あとの4匹は、固まりこちらに対して、威嚇音を発している。




その中で一番足跡で大きな犬に向かってスキル【絶中】を発動した電流の矢を撃ち込む。




その一閃は犬の鼻部分を貫通したのち、犬は身体を痙攣させたのち、動かなくなる。それを見た犬たちは怖気づき、尻尾を巻いて逃げて行った。




そして、僕は中途半端に起こされたことにより、変に覚醒したまま寝付けなかったのであった。


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