115.アキラ、交渉する。
アンレでの報告が終わった後、王都アルトリスへの移動計画を考える。前回と同様に全日程5日間の馬車の移動でも良いかと考えたが、迅速に現地に到着し、王都アルトリスの土地の特徴を把握しておく必要があると感じ、馬での移動を選択する。
「馬での移動となると、陸路での移動時間を大幅に短縮できて、4日で行けるわ。」
とイリスが少し考えた末に答えを出す。また、全員分、2人で一匹の馬に乗るとしても、6人で移動となるため合計3匹の馬を手配することになる。
馬の手配についてが問題として上がる。どこかで最低でも2匹、馬を手配しなければならない。しかし、その点については少し当てがある。
「近くの村の・・・ああ、あの村、リフェルベって言うの、そこの村長と顔見知りで、頼み込めばもしかすると、馬を手配してくれるかもしれない。」
あの隙のない村長だ。何か交渉してくることが考えられるが、今は時間的余裕がほしい。一応、不安定要素もあるが王都アルトリスまでの足は確保できた。
とりあえず、白神村の近くの村のリフェルベまでは、馬車で移動しそこからは、馬に乗って移動する計画を全会一致で決める。さっそく、荷造りをし始める。
今回は軽装装備での移動となるため、料理器具などはおいていき、村で食料を買い込み移動することになった。
今回の旅費はイリスやアルテシアが嫁入りのために持ってきた資金を一部借りることになった。いつか返さなければと決意するのであった。
しばらくの後に、準備が整い出発となる。今回の旅は前回のようにゆったりとではなく、スピードを出して移動することになったため、かなり馬車が揺れる。
現在、イリスがスピードを出して操縦している。テラが、
「アキラさん、酔いは大丈夫ですか?」
そう言って心配してくれるが、スキルなどのおかげで酔いはないためニッコリと笑って
「大丈夫だよ。」
と答える。途中交代しながらも、リフェルベの村まで一行は馬車で向かうのであった。
日が少し傾きかけた頃、村に到着する。こういった交渉になれているイリスとアルテシアと一緒に村長の家を訪れる。ほかの3人は、少しの間休憩をとってもらうことにした。
「ご無沙汰しております。」
そう言って、村長と久しぶりに面会する。村長はそんな僕を快く歓迎してくれる。そして、イリスとアルテシアをちらりと見て、
「アキラ殿は女性にモテる様ですな。こんな美人さんを連れているなんて、ますますあなたが気に入りましたぞ。」
小声で耳打ちしてくる。すると、近くにいた娘さんらしき人が、
「お父さん、アキラさんをからかうのはそこまでしたら。なんだか、急いでいるみたいよ。」
そう言って、部屋に案内してくれた。
「それで、ご用件はなんですかな。」
と聞いてくる。単刀直入に、
「速い馬を2匹手配してほしいのですが。」
と申し出る。村長は少し考え、
「できないこともないのですが、少々こちらの申し出も聞き入れてもらいたいのですが。この村は、辺ぴなところにあるため少々、血が濃くなりつつあるのです。」
なにやらやな予感がする。そして、僕に近づきまた小声で耳打ちしてくる。
「そこで、アキラ殿には私の娘と子を成して、外の血を入れてほしいのです。」
このおじさん、とんでもないことを言いやがった。ああ、だからか娘さんが前回アプローチしてきたのは、こういうことかと納得する。
しかし、今はそんな些細なことに構っている場合ではない。
「そのお約束聞きいれますが、今は時間が一刻も惜しいため、後日そのお約束を果たさせてもらうということでよろしいでしょうか。」
そう告げると、村長は
「ええもちろん!!ハハハ!!」
そう言って、快く引き受けてくれる。そして、明日の朝までには、馬を手配してくれる手筈になる。
そのこともあり今日は、この村で一泊することにしたのであった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます