103.アキラ、裏を知る。

 え?今なんと、その言葉を少し理解できなかった。少女も自分が言ったことに理解が追いついていない様子で、


「えっ・・。私、今なんて・・そんな嘘でしょ。」


取り乱している。試しに、電流を少し流す。


「あひぃ!!」


少し悦に浸った悲鳴を上げる。お互い、状況が掴めないまま沈黙が数秒続く。その沈黙を破ったのは、苦悩する少女だった。


「ねぇ、もっとやってよ。自分のこの感覚を確かめたいの!!もっとやってよ!!」


気迫のこもった声に、尋問する側の僕が圧倒されて、言われるがまま電流を流す。


「ああああああ!!ひいいい!!」


悦に浸った声を出して、痛みに悶絶する少女の姿に僕は言葉を失う。嫌だ、この異世界怖い。僕はこの手で無垢な少女の性癖を開花させてしまったことに対して、後悔の念を抱かずにはいられなかった。そんな時、精霊さんの声がする。


「宿主、気をしっかりとしてください。まだ有益な情報は聞き出せていませんよ。」


 その言葉にハッと我に返る。まだここから挽回しなくてはならないと、自分に言い聞かせ、己を奮い立たせる。そして、彼女に低い声で言い聞かせる。


「もっと、痛めつけてほしければ、自分の知っていることをすべて言え。」


その一言に、少女は息を飲み、恐る恐る答える。


「血を求めたのは、教団の意向です。異邦人やエルフの血を調べて、あなた持つその精霊の力をコントロールしようと考えたのです。」


先ほどとは、打って変わって素直に知っていることを言う。


「ほかには、なぜ僕を捕まえるつもりなら、大人数で来るべきじゃないのか。」


そう聞くと、少女は少し考え込んでから、答える。


「私たちは異端の異端です。その行動が国にバレないように行動しなければなりません。ですので、ごく少数で行動する必要があるのです。それにこの件は、自ら進んで引き受けた任務なのです。あなた程度なら私ひとりで、十分だと思っていたのです。」


ふ~~ん、異端ねぇ・・・自分が実験体のように扱われるのは、癪だがその力をコントロールしようと目論見、それを利用しようとする者たちの動悸はある程度は理解できた。


「その教団ってのは、なんだ。それに規模は?」


「教団に名前はないのですが、教団者の合言葉は・・・・」


先ほどまで、ペラペラと話していた彼女の口が止まる。どうやら、合言葉やその規模を口にするのを躊躇っている様子だ。このあと、どうすればいいのだろうかと少し考え、


「君は、僕の下僕だよ。素直に知ってることをすべて吐け。」


SMプレイのS役の気持ちになって、少女が求めている言葉を投げかける。精霊さんが、


「ドン引きです。」


と僕の心のヒットポイントを抉る言葉を投げかけるが、それでも言わなきゃ、情報が聴けんのよ。と自分を励ます。


「はい、ご、ご主人様。」


はい、釣れた。これでなんでご主人様になるのかは置いといて、これで情報が聞き出せる。


「教団者の合言葉は「血を求む」です。それに教団の規模は私にも全体は知らないのですが、精霊の力を持たないものから、王国や皇国の貴族、それに有力者までもが、その教団に加担していると思われます。」


その言葉を聞いて、どうやら、僕たちは大事に巻き込まれてしまったことを痛感するのであった。迷惑な話だよ。

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