88.アキラ、また眠れない。
午後からは、ベッドを組み立る作業だ。幸いなことに、骨組みはしっかりとしており、クッション代わりの藁は今、取っているとのことである。そして、それにかけるシーツは現在、アルテシアが洗濯中である。
本当に魔術って便利だけど、けっこうエネルギー使うんだよなぁ・・と思いつつベッドを組み立てていく。
『トントン・・・トントン・・・。』
と部品とはめていく。
しばらくの後、完成して家の中に置く。2人分が寝れるスペースがある。これで煩悩と戦わずに済むと安心し、外に眺めているとまゆきが目につく。
まゆきは植物に対して、何かを語りかけている。まぁ、メルヘンねぇ・・・。と思っていると植物がググググと、成長したような気がする。
目の錯覚だろうかともう一度、観察する。
やはり、そうだ急成長している。そのことをまゆきに直接聞いてみる。
「あっ、言い忘れていました。私は植物に生命力を活性化させることができるです。祖母からやり方を教わったんですよ。」
と少し控え目に自分の特技を披露する。
ああ、だからそんなに豊かなお山をお持ちなんですねと理解する。これでこの家の食糧事情も改善されるであろうと期待するのであった。
夕食の時間が訪れる。皆で料理を食べ、楽しい時が過ぎる。
まゆきの通訳をしながら、女子の話の輪に入る。女子達の会話は聞いていて興味深い内容だった、
誰が一番身長が高いか、肌がきれいなど、男子の立場からすると、面白い内容かと思うようなことを永遠と話し続ける。
これが男女の違いかと思いながら、まゆきの通訳を時々するのであった。
夜も更け、皆が時折あくびをする仕草が見られるようになってくる。
誰かが、もう寝ようかと言って、皆それに頷き、各々がベッドに横になる。僕だけは寝袋をしきその上に寝る。今夜こそは深い眠むれることを確信する。
しかし、睡眠の神はそれを許さなかった。睡魔君が段々と迫ってきて、青春映画のように手を振って、こちらに近づいて抱き合おうとした瞬間、腕が抱かれる感覚がした。
それにびっくりすると、睡魔君はあばよ! と言ってどこかに言ってしまう。
目を開けてみるが、真っ暗なので何も見えない。緊急手段として抱きついてきた腕の方の香りを嗅ぐ。
くんくんと変態みたいだなと自己分析するが、今は仕方ないと割り切りながら、甘い香りを感じる。
この香りは女子の香りだとすぐにわかるが、4人のうちの誰だかはわからない。
さらに、空いている手で対象物を触ってみると、幸運なことに胸の部分に手が当たってしまう。これでおおよその人物像がわかる。
アルテシアやまゆきのように豊満な胸の持ち主ではなく、テラのように少しの胸でもない。普通サイズの胸の持ち主であることに気付く、イリスのようだ。
今日、添い寝する権利を主張するが如く抱きついて来たのであった。
次の瞬間、空いていた腕にも少しやわらかな感触が触れる。この感触はテラのものだとすぐにわかる。
こうして、僕は今日も興奮して眠れないのだろうと思うのであった。ああ、睡魔君はいづこにおられるのやら・・・。
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