87.アキラ、木を運ぶ。

 森にギコギコと音が響き渡る。今、僕は木を切っている。なぜ切っているかって?それはしっかりとした木の柱がほしいからだ。さすがに、今の家で五人は狭く、男がいるといろいろと、女性陣の生活に支障が出るので、自分の家、まぁ、掘立小屋みたいなものを作るつもりなのだ。え?ベッドが先じゃないかって?それの心配は大丈夫だ。元々、テラの家族が住んでいた家で、家の収納部分にベッドの骨組みがあるそうで、それを使って畑仕事が終わった後に組み立てる予定なのだ。あとは、藁を敷きつめてシーツをかければ完成だ。それゆえ、まだ日が出ているうちにできる仕事をしているというわけだ。斜めに切り込みを入れ、今度は直線に切り込みを入れる。先ほどとは違い、少しスムーズに溝をいれることに成功する。あとはギコギコと力を入れて木を切っていく。しばらくしてのち、三角形の木のパーツが取れる。よし、第一段階終了!!


 次に、切り込みを入れたの反対側に切っていく。段々とコツが掴めてきて、スムーズに木を切っていく。パキパキ・・・と木が鳴る。もうちょっとだ、ここからは慎重に木を切っていく。もしも、倒木の際に巻き込まれたら危険なので、細心の注意を払いながら切る。いよいよ木が段々と傾いてきて、もうここまで来たら木を蹴っていく。そしてその時が来る。パキパキパキと木が勢いよく倒れる。


「うぉ・・あぶね・・。」


ハンターセンスが事前にそのことを直感してくれたため、早い目に離れることができていた。そして、木が倒れた光景を目にする。すると、精霊さんが、


「宿主、おめでとうございます。Strengthが少々上昇しました。」


と報告してくれる。これで、少しは木が切るのも楽になりそうだと思うのであった。


 さて、この木をどう運ぼうかと思う。大人の肩幅ほどある木なので、相当重いと思われる。まずは、いらない枝などを切っていく。この枝も後で使うことになるので、長さに気をつけながら切る。これで大分軽くなっただろうか。歴史の授業なのでよく見た光景を応用する。木の枝を車輪代わりに置きその上を丸太が通っていく。うん、大分楽に運べる。この単純作業を繰り返しながら、テラの家の近くまで運んでいく。その光景を見た4人は、驚く。そして、木の車輪を置くのを手伝ってくれた。ようやく、一本運ぶ。あとこれを3回やるのかとくたびれそうになる。自分の中で一日一本と勝手に決めて、今日のキコリは終了するのであった。

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