第八章 建築

84.アキラ、提案する。

 無事、帰宅できたことをまず喜ぶ。




でも、もう身体中くたくただ。荷車の荷物をいれる。馬車はいまのところ、家の横の空き地に置いておこう。




そして、馬は適当なスペースに手綱をかけておく。今は、この代替案でその場を凌ぐ。




家の中に、ものなどは出た時のままであるが、う~ん小さな蜘蛛先輩が何匹かいる。




まぁ、益虫だしそっとしておこう。まゆきとテラ、アルテシアは、着いて早々にも関わらず、せっせと夕食の準備をしだす。




「何か?手伝うことない?」




台所にいる彼女たちに質問する。




「それでは、外の畑に行って食べ頃な野菜をとってきてください。」




テラはそう言いながら、アルテシアの出す水で調理器具を洗っている。




了解といい、外の畑へと行ってみる。やっぱ、アルテシアの魔術ってこの時代の生活では、便利な魔術なんだなと思うのであった。




 幸いなことに、野菜たちは鳥や獣に食べられてはいなかった。イリスが魔術をかけた案山子がどうやら、効いたようだ。




しかし、案山子に手を当てるとそのマナも尽きかけていることに気付く。イリスがやってくる。




「あっ、私がかけた案山子、役に立ったんだ。よかった・・。」




ほっとした表情で、案山子に手を当て、再度マナを補充している。




その様子を見ながら、自分は食べ頃であろう野菜たちを取っていくのであった。




 夕食が出来上がる頃、僕は急遽設けられた席に座って待機していた。




もともと、テラの両親が住んでいた家で、この人数なら狭いが、一応は収容できるほどであった。しかし、この密度は長くは持たないため、早い所、増築しなければと思い、その道具を近くの村で買ったのであった。




少し狭いがテーブルを囲み食事を食べる。本人たちは簡単に作ったと言っている料理だが、それでもおいしいものだった。テラが僕の服を少し引っ張り、恥ずかしがりながら、スープを掬ったスプーンを前に出してくる。




あっ、それは。周りに気付かれないように、さっと口の中に入れる。いつもの奴である。その様子は、やはり他の3人にはバレていたようで彼女たちも、テラと同じ行動をとる。なんだこの状況はと思いながらも、それらを食べるのであった。




 腹も膨れた頃、僕たちはある問題に直面していた。誰がベッドで寝て、誰が寝袋で寝るかと言う問題だ。まぁ、男の僕は自分から寝袋を所望したが、そしたらほかの4人も寝袋で寝たいといいだす。




じゃあ、ベッドに寝たいと言うと、それは駄目です。と言われる始末。なぜだ!!と思いながら、4人の会議を聞いていると、




「家主である、テラはベッドで寝た方がいいわ。」




イリスがテラにベッドを進める。




「イリスさんのご厚意には、感謝しますがここは客人である人を地べたで寝かせるわけにはいきません。ですから、私は寝袋を所望します。」




テラはそれに反論する。ああだこうだと、話が長引くようなので、僕は4人にじゃけんで決めれば、と提案する。




「「「じゃんけん?」」」




ああ、知らないかと簡単なルールを説明すると、皆、なるほどと理解してくれたようだ。そして、




「「じゃんけん、ほい!!」」




と運命の一戦が始まるのであった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る