85.アキラ、身を任せる。

 賽は投げられた。少女たちは、自分の直感を信じ役を出す。




最初はあいこ。その次も、あいこ。




そして、次の一手、勝敗が決する。勝ったのは、アルテシアとまゆきであった。




「ああ、負けた!!」




イリスがひどく落ち込む。テラは、白目を向いて放心状態だ。




一方勝った方の、まゆきは何やら顔を赤らめてすこし笑みを浮かべている。




「勝ちましたわ、勝ちましたわ・・・。」




とアルテシアは笑いながらそう呟く。そんなに寝袋好きだったのかな・・とこの時の自分は思うのであった。




 夜も更けてきて、そろそろ就寝にしようかという流れになる。イリスとテラは、ふたりでベッドに横になる。




ニッコニッコしながら、お互いを見つめてクスクス笑っている。先ほどの落ち込みから回復してよかったねと思う。




一方の勝ち組の方は僕を挟むかのように寝袋を置き、横になっている。ああ、やっぱこういう感じになるよねと内心思いながら、緊張した面持ちで横になる。




美少女ふたりに挟まれて眠るなんて、現世に居た頃からは想像できなかった。ああ、でも眠れるかなと心を無に還れと考えながら目を瞑る。




なにやら左右から、ものすごく近い気配を感じる。なんだろう段々とせまってくる感じがする。くらやみにまだ目が慣れていないので、見えず自分の思い込みかと考える。




モゾモゾ・・・と音する。そして、両腕にやわらかな感触が伝わる。




こ、これは・・・と思い、腕を少し動かすと、微かに色めいた声が聞こえる。煩悩君がもう「やぁ!!」と爽やかに出てきて、無の感情だった心を支配していく。




こ、これはまゆきとアルテシアに腕を抱かれているような感じである。両方とも、胸が大きいなと思いながら見ていたが、まさかこんなに、やわらかく腕を包んでくれるとは、ここは天国ですか!!と思ってしまう。




これでは、ますます興奮して眠れなくなる。明日はいろいろとやることがあるので、早く寝なければと思い心を無にする努力をしてみるが、両腕の感触がそれを邪魔する。




「奢れる人も久しからず、ただ春の夜の夢のごとし。・・・」




と恒例の平家物語を唱えるが、まったく効果がない。




それもそうだ、4人の中で1,2を争う胸の持ち主たちに挟まれている状態なので、理性君が完全敗北している。




いかん、このまま悶々としながらは眠れないと思いながら、解決策を考える。ふと思いつく、抗うんじゃない流れに身をまかせるんだという逆転の発想になる。




「たしかに、気持ちいい。じゃあリラックスして眠れるな。」




とその快楽に身を任せる。




すると、遠くの方から睡魔君がお~~い、おまたせ!とやってくるのを感じながら、僕は静かな寝息を立てながら眠っていくのであった。

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