83.アキラ、馬と抱擁する。
朝が来た、目を開けて状況判断をする。
5人の中で一番遅く目覚めたことに気付く。他の4人は朝食の準備をしてくれていた。
「あっ、起きましたアキラさん。朝食がちょうど出来上がったところなんです。」
まゆきが僕の顔を見て来るように促す。それに甘えて食事をいただく。うまいね。
昨日、一発芸に見せたきのこがいい味出してる。
そして、後片付けをして馬車に皆、乗りこむ。予定では今日、テラの家に着く予定である。
馬車の旅も今日で終わりかと少し淋しくもなる。一応、この馬車はイリスの所有物で今後も、交易なので使う予定なので、この旅のあとも一緒なのだ。馬とも親しくなっていたので、これには安心である。
馬を走らせていると、近くの村までやってくる。そこで少し休憩とする。一旦、ここで自由行動とした。
テラとまゆき、イリスは、あまり目立つからと荷車の中で休憩するといい。アルテシアは僕と一緒ならどこでもいいと言う。
僕は少し鍛冶屋に立ち寄り、のこぎりと、金づちそれに釘を何十本かお買い上げする。交易などで稼いだ所持金の9割が消えた。
まぁ、必要経費だし、しょうがないと観念する。アルテシアにかなづちを持ってもらい、少し重いのこぎりと釘は自分が持つことにした。
ああ、これ以外と重い。アルテシアは両手でかなづちを持ちながら、
「アキラ様、大丈夫ですか?」
僕を心配そうに見る。
「大丈夫、大丈夫、これくらい平気だよ。」
まぁ、持てないこともないのでがんばって、馬車まで運ぶのであった。
それから、村を出発して目指すは終点のテラの家に、進むのである。
馬車からは、少し見慣れた景色が広がり、10数日ぶりに帰って来たのだと実感し、嬉しくなる。馬にもその気持ちが伝わったのか、少しペースが早くなる。
「頑張れ!!あともうちょっとだよ!!ラストスパート!!」
ここまで、僕たちを運んでくれた馬にエールを送る。皆、その様子を見て、ドン引きしている。
だが、僕と馬は、固い絆で結ばれた盟友だ。ここまで、頑張ってくれた馬にこの気持ちは伝わっているはずだと思い、声援を送る。
マップ上では、点と点が重なり始めている。そして、遠くの方にテラの家が見え始める。テラとイリスがそれに反応する。
「ああ、おうち見えました!!」
テラが最初に反応し、久しぶりに見た我が家に興奮する。
「ふぅ~~やっと終着地点が見えてきたわね。」
イリスの往復の長旅の終点が見えてきたことに、安堵の声を出す。
太陽が夕日へと変わり始める頃、ついに、ついに家に到着する!!その瞬間、僕は運転席から降り、馬に抱きつく。
「おおおおお!!!よくやったぞ!!えらいぞ!!よくぞ頑張ってくれた!!」
馬もブルルと言っている。うん、よくがんばった!!その光景にテラも少し感動しているようだ。
しかし、他の4人はえぇ・・・と言った感じでドン引きしていたのを僕は感じるのであった。
初めての異世界の旅だったので、感極まるのをどうか理解してほしいと思うのであった。馬の名前考えなきゃ・・。
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