82.アキラ、芸を見せる。

 「あぁ、疲れたぁ・・。」




と唐突に疲労感の言葉が出る。




なんせ、この数日でいろいろありすぎたからだ。悪酔いで気絶したり、神の使いとして祭られたり、人を殺したりと尋常じゃない人生体験をして、若干キャパオーバー気味である。




「私も疲れました。」




隣に座っているイリスも同様に疲れていたようだ。




そんな彼女の頭を撫でてあげる。




「こ、これで今回のことはゆ、許します。」




頬を赤めながら、そう許してくれるテラは可愛いなと思いながら、馬車を進める。




すると、精霊さんが、




「宿主、スキル【目的地】のレベルが2に上昇しました。おめでとうございます。」




突如、脳内のマップ範囲が更新される。




そして、今まで通ってきた村やロケーションが記される。これすごい便利!!すると、白神村がマップの片隅に表示され、現在地とけっこう近づいている見てとれる。




ここまでの道のり長かったなぁ・・。としみじみ思う。いきなり、王都行くよってイリスに連れられてから、もう何日も経つんだなと今までの思い出を思い返す。




そう思いながら、イリスを見つめる。すると、そのことに気付いたイリスが顔を赤らめながら、恥ずかしそうにする。ほほ、ういやつめ。




 日も暮れ始めた頃、馬車を止め野宿の準備をする。アルテシアと僕とイリスが、小枝を集めに行き、テラとまゆきが料理の準備をする。




どうやら、まゆきは家では5人の料理をよく作っていた様でなかなか手際よい。




 エルフの里で補充した食糧で、料理をする。ほほ、スープのおいしそうな匂いがする。




すると、食材の中で例のあいつを見つける。そう、キノコッポイヤツだ。




それを手に取り、火の番をしていたイリスとアルテシアに、芸を見せる。握りこぶしを見せてそこに電流を流す。




すると、こぶしの中のキノコ(仮)が増殖し巨大化する。




どうびっくりした?という表情をするが、イリスの反応は微妙でお、おうと言った感じである。アルテシアは苦笑いで一応、拍手をしてくれる。




うん、この反応、すべったと確信する!!しょうがないので、でっかくなったきのこを人数分に裂き、ひとり炙るのであった。




料理が出来、皆でそれを食べる。




まゆきは若干、テラたちの言語がわかってきたのか、片言だが話している。伝わらない様子だと僕が通訳をして、コミュニケーションを図る。精霊さんあなたは本当に優秀でございますと感謝の気持ちを思う。




 腹も膨れ、もう一度、あの芸を今度はまゆきとテラに見せる。




すると、まふゆは慈愛の顔をしてこちらを憐れんだ様子で見る。テラはおぉ~~!!と驚嘆の声をあげる。




なんだか、求めていた反応と違うような気がするが、まぁいっかと思う僕であった。そんなこんなで夜は更けていくのであった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る