81.アキラ、感動する。
「状況終了です。」
と精霊さんが端的に戦闘が完全に終了したことを教えてくれる。初めて、人を殺したのに僕の心は不思議なくらい何も感じなかった。悪い人たちだろうか、それも違う。ただ、ましろを救うための障害を片づけたと言った方が正しいくらい、当たり前のことをしたような感覚であった。しかし、段々と人を殺したという事実が重くのしかかってきそう気がしたので、
「はい、この話はやめやめ。」
と割り切って、思考をリセットする。
「賢明な判断です。」
精霊さんも褒めてくれている。ガサッと音がする。おっと、ましろちゃんのことを思い出す。
「ましろちゃん大丈夫?」
馬が木のそばまで駆け寄ってくれる。ましろは、木を降りてくる。そして、僕の方目掛けてジャンプする。それに僕も反応して、うまくキャッチする。
「えへ、また助けてもらった。お兄ちゃん好き。」
と頬にキスをされる。異世界に来て何回目のキスだろうか、だが幼女からのキスは新鮮で嬉しかった。この笑顔を守れたことに今は浸ろうと思うのであった。
馬がまゆきたちのところへと着く。まゆきが駆けよって来て、ましろが抱きしめる。
「もう心配したんだからね。もう一人で出歩いちゃ駄目だよ。」
と優しく諭す。本人もそれに反省しているようだし、もう二度と危険には巻き込まれないだろう。そして、ましろが少し涙を浮かべながら、
「お姉ちゃん!!ごめんなさい。」
と謝るのであった。それから、一旦ましろを念のために僕らが着いてエルフの里まで送り届ける。村人たちは、やっぱりこの村に居てくださるのかと期待の眼差しを向けるが、ましろちゃんを送り届けただけですよ。というとガクリと肩の力が落ちた様子だった。えぇ・・なんかごめん。ましろちゃんが先ほどの話をする。待って、その話を今するのは、まずい!!
「おお!!なんと、雷神様の使い殿が、賊を倒して、ましろを救ってくれたのか!!」
と村人たちから、大きな歓声が上がる。そして、わっしょいとわっしょいと担がれてまた祭られるのであった。この人たち、絶対、俺のことまだ諦めてないよねと、この時、そう確信するのであった。その後、村人たちから解放されて、この村を再度出発するまで、昼までかかったのである。
昼、やっと村を出発する。
「お姉ちゃん、元気でね!!」
とましろちゃんが大声でまゆきを見送る。まゆきは手を振り、
「ましろも元気でね!!」
と言う。姉妹愛って美しいですねっとテラに言う、テラはなんとか状況を把握し、はいと答える。イリスに後、どれくらいで着くかと聞くと。
「う~~ん、1日半くらいで、白神村の近くの村まで行ける。」
とのことである。さぁ、もう少しで我が家だと心を引き締めて馬車を走らすのであった。
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