74.アキラ、スピンする。

 何かの気配で目が覚める。すると、幼女さんが至近距離で僕の顔をガン見している。




なぜこんなに顔を見られているのか、まったく心当たりがないわけでもなかった。




ニッコリと笑いながら内心、昨晩のことを覚えているのではとヒヤヒヤしていると、足音がしてくる。




そして、昨日、膝枕をしてくれた幼女のお姉さんが現れる。




「こら、ましろ。助けてくれた人が困ってるでしょ。」




と幼女さんを注意する。




「まゆきねぇ・・・。はぁい・・・」




と幼女さん改め、ましろが素直に従う。




そして、幼女のお姉さん改め、まゆきがこちらに気付く。




そして、僕も精霊さんがエルフの言葉を学習し終えたことに気付き、お疲れ様と心の中で強く思う。




「お気遣いありがとうございます。」




と精霊さんはいつものような調子で返事をする。




そして、まゆきを改めて見る、まゆきも身構えて僕の出方を窺っている。




「あ、どうも。アキラと申します。」




拍子抜けた自己紹介をかます。まゆきも丁寧にペコリとおじきをする。微妙な間が何秒か続き、まゆきがハッ!とした表情して、




「私たちの言葉がしゃべれるようになったんですね!!」




とそのことに気付く。まぁ、お陰さまでといった表情して頭を掻く。




まふゆが、どこかへ駆けていく。あ、これ多分、おばあさん呼びに行ったなと推測できる。




ほかの皆はまだ寝ているが、僕の傍に寄って来たのか若干パーソナルスペースが近い様な気がした。




 一旦、新鮮な空気を吸いに外に出てみる。気持ちのいい朝だ。




久しぶりにラジオ体操してみることにして、走ってくる足音が近づいてくる。ハンターセンス君もそれに反応する、




足音の間隔からそれがましろちゃんのものだと一瞬で予測できる。多分だが、勢いよくハグしてくるなと思う。




目の前は池になっており、危ない。そこで振り返る、そこにはもうましろちゃんがおり案外速いなと思いながら、彼女を抱きかかえる。




その瞬間、足をスピンさせて彼女が走ってきた勢いで2回転する。回転が収まると彼女を下ろして、ましろちゃんの目線に合わせて腰を降ろす。




「ましろちゃん、おはよう朝から元気だね。」




とあいさつすると、目を見開き口をあんぐりと開けて驚いている。




まぁ、ニッコリしかしなかった人が急に話しだしたらそら、びっくりするわな。と思いながら、見ているとやはり姉妹らしく数秒のおいて、




「お兄ちゃん!しゃべれるようになったの!!やった!やった!」




とはしゃぎ始める。




「そうだよ。」




その言葉に少女は喜び、抱きついてくる。よほど、話せるのがうれしいようだ。




「あのね、あのね、まゆきねぇがおばあちゃんのところに来てだって。行こう行こう。」




少女に手を引かれながら、長老の元へと向かうのであった。

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