73.アキラ、悪酔いする。
出された料理を食べ終わる頃、不思議な水が出される。ハンターセンス君が反応する。
幼女のお姉さんらしき美少女が器にその容器を注ぐ。そして、僕に飲んでくださいとばかりに、それを手渡そうとする。
それを受け取り匂いを嗅ぐ、なんだかツーンと鼻を刺す臭いだ。これはなんだという感想が出る。
イリスやアルテシアに目線を向けると知らん顔をする。テラは、興味深々に僕の反応を窺っている。
出されたものだし、毒ではないと思うのだが、ぐっと飲む。辛いっ、まずい。だが、ここで引くわけにもいかずそれを飲みこむ。空いた器に、またお姉さんが注ぐ。
「精霊さん、さっきの飲み物なに?ゲロマジなんだけど。」
と精霊さんに言うと、
「先ほどの飲み物はマゴナという飲み物です。マナの抽出液と考えていただければ大丈夫でしょう。しかしながら、濃度が高すぎるためマナの吸収は少量しかできません。宿主は異邦人の特性上、この飲み物を飲むことにより・・・」
精霊さんの説明を聞いていると、急に気分が悪くなってくる。
「悪酔いをします。」
と精霊さんが言う。その言葉通り、段々と気持ち悪くなってくる。
なんだか毒をくらったみたいに酔ってくる。ただただ、頭がクラクラして、そして僕は意識を失いその場に横になるのであった。
頭痛で意識が戻る。うげぇー頭痛い。なんだって、多分あのマゴナという飲み物のせいだろう。すごく気分が悪く現在の状況もうまく把握できない。
「宿主、お気分が優れない様子ですね。現在、幼女のお姉さんに膝枕されている状況です。」
ああ、そうなの幼女のお姉さんに膝枕されてるのか、だからこんなに頭の方が気持ちいい感触なのかと感慨に浸たりそうになる。
驚いて目を開けると、目の前に胸のお山が見える。こういう時、どういう顔をすればいいんだろう。
身体が火照り出す、いかんいかん平常心平常心平家物語。
「祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり。・・・」
と平家物語を心の中で唱えると、自然と心がなぜかわからないが平常に戻る。
お姉さんのお顔を拝見すると、スゥー、スゥーと寝息を立てて眠っている様子だ。
そぉーと上半身を持ち上げ、膝の枕の上から移動しようとする。しかし、豊満な胸に当たってしまう。なにこれやわらかっ!!
「あぁ。」
と微かにお姉さんが声をだす。一瞬かたまりそれから息を吸い込む。
「スゥー・・・沙羅双樹の花の色、盛者必衰の理をあらはす。」
と小声で囁きながら、意識を保ち名残惜しくもお姉さんから離れる。
そして、スゥーと立ちお姉さんを見る。なんて優しい人が、マゴナに酔った会ったばかりの少年に膝枕をしてくれるなんていい人だなと思いつつ。
「ねぇ、君のおねえさん、優しいね。」
と、厠に行っていたであろう幼女に言葉を発する。
そして、壁にもたれ掛かり目を閉じて二度寝の体勢に入る。そして目を瞑りながら、僕は紳士的な態度をとった自分を自画自賛するのであった。
うん?なんか今、異物混入してなかった?と記憶を思い返すとなんと先ほどの脱出劇を幼女さんに見られていたことに気付く。
慌てて目を開いて、幼女さんを見る。幼女さんは、寝ぼけた様子でお姉さんのそばに近寄り、スゥーと眠るのであった。
「み、見られてないよね。」
と精霊さんに確認するが、
「半々ですね。」
容赦のない解答が飛んでくる。
まぁ、見られてないことにして、再び二度寝の睡魔に身を任せるのであった。
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