75.アキラ、祭られる。

 ましろちゃんに連れられて、昨日話した老婆の元へと歩いていく。




連れられたのは、森であった。入っていくと薄暗くじめじめとしておりこんな場所でなにをしているのだろうか、不安になってくる。




足元がおぼつかなくなり、イーグルビューを使うと少し離れたところに人型の足跡が大量に見える。多分、あそこにいるのだろう。それにしてもエルフは目もいいらしくこんな場所でも、ましろちゃんはつまずかずに歩いていく。




「おばあちゃん、連れてきたよ。」




ましろが呼ぶと、老婆がそれに反応する。




その足元を見ると、きのこっぽいものがちらほらと見える。もしかして、きのこ栽培でもしているのかと考える。




「起きたばっかりで申し訳ない。今朝の料理に使うきのこをとっておったんじゃ。これはうまいぞ。」




老婆そう言って、きのこぽいものを何個かとる。しかしすべてをとらず何個か残す。なぜかと聞くと、




「全部とってしまったら、生えるのに時間がかかるからの。」




そう答える。ひとつ僕に渡してくれる。




獲れたばかりのきのこを初めて触る。ふにふにだ。それから老婆はましろにきのこを全部渡す。そして、僕に、




「きのこを焼くために少し火を起こしてくれんかの。」




と頼まれる。火起こしするために男手を呼んだのかと理解する。




でも、これくらいの量のきのこなら、電気の力でいい感じに焼けるだろうと思い、試しに持っているきのこに電気を流してみる。




 これが間違いだった、電気を当てられたきのこは身の危険を感じたのか活性化し、大きくなる。手のこぶしサイズのきのこが、人の顔ほどに大きくなったのだ。




これには、2人も驚いた様子で、




「お兄ちゃん、なに出したの?」




と聞かれる。




別のきのこを獲り、今度はわかりやすく電気を流す。




やっぱり、活性化して大きくなる。それにおばあさんが驚いた様子で、




「あなた、いやあなた様に宿る精霊は雷神様の使いでございますか!!」




と食い気味に話す。




「いや、鷹の精霊です。」




名前を素で間違えると、精霊さんが




「鷲です!!」




こちらも食い気味に主張する。




その後は、もう丁重に村に連行されるや否や、村中の人が集まって緊急集会が開かれる。




 「このお方は雷を操っておられた。」




と老婆が言うが、最初は誰もそのことを半信半疑で聞いていた。




しかし、先ほど見せた行為を見せてくれと頼まれてやると、歓声が湧く。




「雷神様の使いじゃ、使いじゃ。」




「この目で見られるとはありがたや、ありがたや。」




もう村中が朝から大騒ぎになってしまう。ああ、どうしてこのなったのかと思ってしまう。




ここまで来ると、もう神の使い(設定)の僕の意向はそっちのけで、祭壇が持って来られてそこに座るように促される。




そして、座るや否や、皆が手を合わして崇め始めるのであった。




「精霊さん、これって今日、この村、出発できるかな?」




と恐る恐る聞いてみると、




「現状では、難しそうです。」




即答され、複雑な気分となるのであった。

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